継続的にインフルエンサーマーケティングの施策をご一緒させていただいております伊勢半グループ様と施策の導入背景などについて対談の機会をいただきました。
TORIHADA 桐井
お取引開始から、約1年ほど経ちました。改めて、伊勢半グループ様としてのここ最近のPRやマーケティングをどのように見ていらっしゃいますか?
伊勢半グループ 大町様
化粧品におけるマーケティングの主戦場がマス広告から段々とデジタルシフトされてきていることは日々実感しています。これまでは店頭で商品を見て、その場で情報を得て購入検討するという傾向でした。しかし最近では、SNSなどデジタルであらかじめ情報を得て、ある程度購入する意思をもって店頭に行くというケースが一般化してきています。デジタルでの接点をきっかけに店頭が動く、商品の売れ行きが大きく変わるという現象を目の当たりにすることも増えています。
TORIHADA 桐井
なるほど。確かにデジタルシフトは進んでいますよね。ただ、デジタルといってもいろいろな選択肢がある中で、なぜTikTokを導入しようと思ったんでしょうか?具体的にどんな問題意識がありましたか?
伊勢半グループ 大町様
そうですね。具体的には2019年に『ヘビーローテーション』というブランドで初めてTikTokを導入しました。エントリーのユーザーを獲得したいと考えた時に、『ヘビーローテーション』のターゲットとTikTok自体のターゲットのエンゲージメントが高かったことが導入の理由です。
TikTokを使って何らかの施策をとることで認知が高くなるだろうと考え、オーガニックハッシュタグチャレンジを行いました。
TORIHADA 桐井
多くの企業がTikTokを導入するよりもかなり早い段階でTikTokに取り組まれていたと思うんですが、なぜまだ挑戦している企業が多くないTikTokという領域にチャレンジできたんでしょうか?
伊勢半グループ 大町様
まず、元々会社の風土として世の中の動きをキャッチして「一早く始めよう」という心構えが根付いています。その当時、ちょうど世間一般ではTikTokが台頭してきていて、私たちがターゲットとするユーザーが今後使っていくメディアになっていくだろうと感じたので、TikTokへのチャレンジは必然だったように感じます。
TORIHADA 桐井
素晴らしい風土ですね!一方で、とはいってもまだまだTikTokは未知のものであったと思います。どんなことに期待をされてチャレンジされたのでしょうか?
伊勢半グループ 大町様
マーケティングにおいて動画コンテンツが効果的であることが定説になっている中で、YouTubeのような長めの動画より、TikTokのような短い動画の方がユーザーに届きやすいのかな?といった議論は社内でしていました。実際に同じYouTuberの長尺と短尺の動画を比較すると、短い方がより見られていたことも分かりました。
またTikTokユーザーは直感的なコミュニケーションを好んで、それをきっかけに実際の行動に移すという傾向が多かったので、そこにも期待をしていました。
TORIHADA 桐井
確かに、数字で見ると短尺動画であるTikTokは比較的、長尺動画のコンテンツより、再生数は増えやすいと言えますね。その分ユーザーにリーチできる可能性は広がります。
一方で、再生数を伸ばすことが目的にはなってはいけないとも思っています。そういった意味で伊勢半グループ様ではTikTokにどんな効果を求められていますか?
伊勢半グループ 大町様
私たちも大切なのは再生数だけではないと思っています。
TikTokは「出会う場所」だと思っているので、ユーザーが私たちの商品に出会うきっかけにうまく使えればいいなと思っています。
ユーザーが喜ぶこと、クリエイターが表現したいこと、企業が伝えたいこと、その3点が一番いいバランスでつくられたコンテンツがユーザーに届いて、広がり、商品の売れ行きにもつながっていくことが目指していきたいことではあります。
店頭における動画の二次利用というアイディアと『ラクオリ2』の販売増
TORIHADA 桐井
今でもTikTokのイメージについて正しく認識できていない企業が多い中で、クリエイターの特性を活かしたクリエイティブにも理解をしていただいているのは本当に時代をつかめているなと考えさせられます。
『ラクオリ2』では、投稿した動画を店頭の二次利用まで落とし込む施策にお取り組みいただきました。実際に購買までつながっているという点で、そういった効果が得られた素晴らしい事例だったように思います。
伊勢半グループ 大町様
TikTokは「出会う場所」ではあるものの、商品の購入までの導線は完結はしていません。そのため、TikTokを使ってユーザーに情報を伝えたあと購入までの導線をどのように設計していくかは課題でした。
まぶた用ふたえコスメ『ラクオリ2』のTikTok施策は再生数が伸びたことから、デジタル広告として店頭でも利用してみることにしました。
TikTokで支持された動画を店頭のお客様にも見てもらうことで購買意欲をその場で高めることができ、相乗効果が生み出せた施策だったと思います。
TORIHADA 桐井
確かに、TikTokでは購入まで完結することはできませんからね。『ラクオリ2』の施策での二次利用に関しても、柔軟にご決断いただき、販売増につなげることができたと思います。
伊勢半グループ 大町様
『ラクオリ2』は広く一般的に知られた商品というわけではないので、TikTokの文化である「偶然出会う」みたいな感覚がマッチしたと思うんですよね。
TikTokの中で「偶然見つけた!」みたいな体験は、お店での「初めて見たけどこの商品なんだろう?」「あんまり見たことないけど興味あるな!」みたいな体験と近いと思うんです。すでに売れているものがTikTokでバズったというよりは、「いいものをみんなより早く見つけられた!」みたいな特別感をTikTok上でユーザーが感じて、そこから気になって調べて、購買するという流れがうまく醸成できたんだと思います。
TORIHADA 桐井
『ラクオリ2』のような新商品に対しては、発売時に施策を打っていくことが多いと思いますが、定番アイテムに対してはどのようなマーケティング手法でユーザーにアプローチされていますか?
伊勢半グループ 大町様
投稿のアイディアによっては「定番」か「新商品」かはユーザーにとってはあまり関係ないと思います。定番アイテムも鮮度高く見えれば、ユーザーにとっては新たな出会いになります。
例えば、『ヒロインメイク』のスーパーウォータープルーフマスカラの場合、耐久力のあるアイテムのため、暑い時期にニーズが伸びる傾向があります。ニーズに合わせて最良のタイミングで、ユーザーに気づきを与えることができれば、たとえ定番アイテムでも新商品と同様にPRを活性化できると思います。
200年近い歴史を持つ化粧品メーカー伊勢半グループがTikTokマーケティングを導入した背景(後編)はこちらから