Instagram創業者ケビン・シストロムの描く「ソーシャルの未来」とは?Artifactの真相とビジョンに迫る

Iケビン・シストロム(左)とマイク・クリーガーの新アプリ「Artifact」は、AIを使ってユーザーのニュースフィードを作成する © FT montage: Chris Saucedo/Getty Images for SXSW
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(以下は、The VergeのArtifactに関する記事を要約したものであり、元の記事・内容については当社が独自に制作・発信しているものではございません。)

Instagram創業者ケビン・シストロムの描く「ソーシャルの未来」とは?Artifactの真相とビジョンに迫る

Instagram共同創業者ケビン・シストロムとマイク・クリーガーが手がける新しいニュースアプリ「Artifact」のスクリーンショット
Instagram共同創業者ケビン・シストロムとマイク・クリーガーが手がける新しいニュースアプリ「Artifact」のスクリーンショット  Image: Artifact

Instagram創業者コンビが現場に帰ってきた。
2018年にFacebookを去った二人が、次世代ソーシャルアプリを模索するために新しいベンチャーを設立、その最初の製品がArtifact(アーティファクト)。機械学習を使ってユーザーの興味を理解し、今後近いうちに記事について友人と議論できるようになる、パーソナライズされたニュースフィードだ。

記事、事実、人工知能の融合を意味するアーティファクトは、2023年2月1日(米国時間)からウェイティングリストを一般公開しており、早々に開始予定とのこと。(AndroidとiOSに対応)

簡単に言えば、アーティファクトはテキスト版TikTokだろう。
アプリを開くと、大手メディアからニッチな話題まで、人気記事のフィードが表示される。興味のある記事をタップすると、TikTokのアルゴリズム同様、アーティファクトが次の記事やストーリーを提供する。

現在は記事のフィードだけだが、β版ではフォローしているユーザーの投稿記事やそのコメントを表示するフィード、ダイレクトメッセージで、読んだ記事について友人と個人的に議論することができるようになる機能がテストされている。


近年、大手ソーシャルプラットフォームはTikTokの成功に触発され、こぞって短編動画及び付随する広告収入を追い求めてきた。
対するアーティファクトは、2000年代後半のソーシャルネットワークのように、テキストにしっかりと狙いを定めており、シストロムとクリーガーは、長年の経験と最近の人工知能の進歩により、このアプリの人気を期待している。

彼らの企画は、数年前にスタート、当初は機械学習システムの能力について懐疑的であったものの、Instagramでの経験により信頼を置くようになった。
そして、
①自らが把握できるような消費者向けテクノロジーの新しい大波
②その波を彼らの愛するソーシャルテクノロジーにつなげる方法
③顧客のためにどんな仕事ができるか

という3つの観点から技術設計を考え、このタイミングでの立ち上げに至ったそうだ。

ChatGPTを実現した技術は、ソーシャルネットワークの新たな可能性をも生み出した。
今回アーティファクトを実現した画期的な技術は、Googleが2017年に発明した「トランスフォーマー」だ。
トランスフォーマーは、従来よりもはるかに少ない入力で、システムが言語を理解する仕組みを提供する。これにより、機械学習システムの性能が格段に向上し、昨年のChatGPTのリリースとそれに伴うAIへの関心の高まりにつながった。(トランスフォーマーはChatGPTの “T”にあたる)

ソーシャルネットワークにも新しい可能性がもたらされた。友達が楽しめるコンテンツを共有するもの(Facebookモデル)から、友達に限らずフォローした人の情報をもとにコンテンツを表示するもの(Twitterモデル)へと進化した。
さらにアルゴリズムによる予測だけでコンテンツを表示するTikTokが登場、世界で最もダウンロードされたアプリとなった。

ArtifactのWebサイト(ウェイティングリスト登録後のもの)
ArtifactのWebサイト(ウェイティングリスト登録後のもの)

アーティファクトは、同じことをテキストで実現しようとしている。
質の高いニュースや情報を読者に提供するという仕事に真剣に取り組んでいくが、問題は、TikTokのように人気爆発となるかどうかだ。いくつものニュースメディアが、強いインパクトを残すことなく消えていった。

まだビジネスモデルは明らかにされていないが、アーティファクトには広告が適しているとシストロムは述べており、出版社との収益分配にも興味を示している。
出版社についても、編集の品質基準を維持する出版社だけを取り込む努力をする、虚偽の情報を個別に削除していくなど、質の高さに重点を置いている。

機械学習については、クリック数やコメント数ではなく、記事の読まれた時間に基づくよう最適化、より魅力的なコンテンツに焦点を置くよう進めていくそうだ。

Instagramを7億1,500万ドルでFacebookに売却したシストロムとクリーガーには、差し迫って起業する必要は無かった、では、彼らを突き動かしたものは何だろうか?

復帰の理由は、「根本的にモノづくりが好きだから」だそうだ。
「コードを書き、人々が喜ぶ製品を作ること以上に、時間を費やしたい場所は、世界中どこにもありません。それが好きなんです」とシストロムは語る。

AIの進歩も、彼らの想像力をかきたてるものだという。

「機械学習は、紛れもなく、いま最もクールな研究対象だと思います。機械学習とは基本的に何ヶ月もうまくいかないことが、突然うまくいき、そして恐ろしくうまくいくことだ、とOpenAIのCTOの言葉に、私は共感しています。」

アーティファクトの予定の多くはまだ計画段階のままだが、すでに十分な完成度を示している。
記事を読み終わり、フィードに戻ると、関連記事が次々と提案される。夜間は自動的にダークモードに切り替わり、リンクを投稿する際に、すべての人にコメントを許可するか、フォロワーに限定するか、あるいは完全にコメントを許可しないかを選択できる。

イーロン・マスクが率いるTwitterの崩壊を見ても、テキストベースのソーシャルネットワーキングに再び挑戦する機会、このような製品が必要な時期が来ていると思える。

アーティファクトの成功には、単なる面白いリンク集ではなく、デジタル出版が落ち込んでいる今でも存在する興味深いストーリーの発掘、インターネット上で読むべきものを見つけることが必要となるだろう。

TikTokの成功を見ても、主たる動画より寧ろ、コア・フィードに関するコメント、つまりテキストの力によるところが大きい。同様に、Twitterがニュース速報の主要な情報源として存続しているのは、エリートが公の場でニュースについて議論する場所であることが大きな理由である。

アーティファクトはまだ準備中だ。しかし、シストロムとクリーガーがInstagramにもたらしたのと同じ職人技をこの製品にもたらすことを期待したい。

出所:The Verge “Instagram’s co-founders are back with Artifact, a kind of TikTok for text”

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