(以下は、Tech Crunchのアーティファクトに関する記事を要約したものであり、元の記事・内容については当社が独自に制作・発信しているものではございません。)
Instagram共同創業者の新アプリ「Arftifact」は、二度目の雷を落とすのか?
ニュース閲覧アプリとソーシャルの連動性とは。
- Googleが廃止したRSSニュースリーダーアプリGoogle Readerの現代版アレンジ
- 機械学習を使ってユーザー体験をパーソナライズするニュースリーダーだが、既に数多くの競合が市場に存在する
- 若い世代はニュースを読むにもTikTokのような娯楽アプリを利用することが多く、ニュースアプリ自体が時代遅れの感もある
- 出版社との収益分配をオプションとする可能性もありうる
雷は同じ所に二度は落ちないのでは?
Instagram の共同創業者であるケビン・シストロムとマイク・クリーガーが作った新しいソーシャルアプリが公開され提起された疑問らしい。
The Vergeの記事によると、二人はソーシャルアプリを探求すべく新しいベンチャーを立ち上げ、そのデビュー製品としてパーソナライズされたニュースリーダー「アーティファクト」を発表した。
アプリ自体は未公開だが、希望者はウェイティングリストに登録できる。(現在は+1米国の番号のみ受け付け可能とのこと)
説明のとおり、これはGoogleが2013年に閉鎖した長年のRSSニュースリーダーアプリGoogle Readerを現代風にアレンジしたもののようだ。ただしこの場合、アーティファクトは、機械学習を利用してエンドユーザーの体験をパーソナライズするニュースリーダーであると同時に、ユーザーが出会った記事について友人と議論できるようなソーシャル要素も加わっている、とのことだ。
(もっとも、Googleリーダーにも同様の機能はあったが、ユーザーが直接RSSフィードを追加するには、アプリ自体をプログラミングする必要があった)。
The Vergeの記事によると、アーティファクトはまず、厳選されたニュース記事を提示、時間の経過とともにユーザーの興味に応じたものになっていくという。ニューヨーク・タイムズのような有名出版社から小規模サイトまで様々な記事がある。その他の主な機能としては、コメント管理、フォローしている人が投稿した記事のコメントと一緒に別のフィードを表示、記事について個人的な議論ができるダイレクトメッセージ受信箱などがある。
このコンセプトは、ニュースを議論するというTwitterの大きな活用事例の1つと重なる部分がある。イーロン・マスクがTwitter買収後、アプリのロードマップやポリシーにしばしば物議を醸すような変更を無秩序に加え、古くからのユーザーを疎外したため、ユーザー達が他の新しい選択肢を検討している時期に登場した。
ところで、アーティファクトは完全にオリジナルというわけではなさそうだ。Googleリーダータイプの体験を現代風にアレンジしたように見えるだけでなく、パーソナライズ要素を含む新旧さまざまなニュース閲覧アプリ、例えばフリップボード、スマートニュース、ニュースブレイク等と競合することになる。また、ポケットやその新たな競合マターにも似ているようで、ニュース閲覧、厳選されたおすすめ情報、コメント等を組み合わせて提供することができる。サブスタックでさえ、Twitterの不安定化に乗じて、読者と作家がアプリ内でチャットする仕組みを立ち上げた。海外ではバイトダンスの「Toutiao」で成功したモデルだが、米国版を作るのは難しいだろう。
そしてもちろん、この新アプリは、彼らが2018年に去ったMetaとも、多くの点で競合することになる。Facebookや、より限定的ではあるがInstagramやWhatsAppは、何十億もの人々が、友人や家族、グループ、フォローする企業からの更新情報と共に、ニュースや情報に触れ、関与するポータルとして機能している。
つまり、どれだけ洗練され、差別化されたとしても、アップルニュースやグーグルニュースなど消費者が利用できるニュースアプリがすでに市場にあるため、アーティファクトには多くの競合が存在する。
The Vergeの記事によると、2人は、TikTokにおけるアルゴリズムと同様に、機械学習技術における最近の飛躍がアーティファクトに優位性を与えると考えている。
しかし、TikTokのパーソナライズされたFor Youフィードは間違いなく中毒性があるが、その成長は、2018年には年間10億ドルとも報じられた、ユーザー獲得活動に向けた膨大なマーケティング費用あってのものだ。
たとえ注目すべき創業者達とは言え、火に投じる燃料の量は同じではないかもしれない。また、若いZ世代ユーザーがニュースや世界の出来事を知るためにTikTokのような娯楽アプリを利用することが多くなった時代には、ニュースを読むこと自体、追いかけるべき市場としてはやや時代遅れのような気もする。
創業者たちは、ネットワーク上のコンテンツについて「主観的」かつ「厳しい」判断を下すことを約束し、二極化したニュースのエコシステムに入り込もうとしている。
とはいえ、10億ドルという当時最大級のソーシャルテック買収で、良くも悪くも世界のソーシャルメディアとの関わり方を形作ったInstagram創業者達の成功を無視することはできない。
初期段階の製品であるアーティファクトはまだ開発中であり、収益化はされていないが、出版社との収益分配という可能性もある。(どこかで聞いたことがあるような言葉だ)。
このアプリの成功は最終的には重要ではなく、彼らはこの新しいベンチャー企業を通じて他の新しいソーシャル製品をテストするつもりかもしれない。
出所:TechCrunch “Instagram’s co-founders introduce a new social app…for news reading”