(以下、Jellysmack ブログ「4 Predictions for the Creator Economy」の内容を要約し、編集した記事であり、元の記事・内容については当社が独自に制作・発信しているものではございません。)
ここでは、2023年クリエイターエコノミーにおける4つの問題点、そしてそれに対する変化についての予想を述べている。
1 クリエイターの燃え尽き症候群が深刻化
クリエイターにも様々なタイプ、特徴があるが、あらゆるクリエイターに共通する「壁」が存在する。
次の動画を作ろう、再生回数やファンを増やそう…。自分の好きなものを、好きな時に、好きな条件で作ることができる反面、モチベーションを維持したまま、休む暇がないと感じてしまう。
趣味で始めたはずが、本格的な制作活動に入ると、納期や広告契約、経費など、クリエイティブなアイデアを失ってしまうような現実問題に直面する。
そして、アイデアが枯渇しても、制作活動を止めるわけにはいかない、というプレッシャー。
制作と投稿の自転車操業。
自分に続く「次世代クリエイター」の存在がプレッシャーとなる。
こういった、燃え尽き症候群は大きな問題ではあるが、解決不可能ではない。
予想:クリエイターは、自らの感性を守るために行動を起こしていくだろう
クリエイティブな業界の多くには、「シーズン」が存在する。
ミュージシャンはアルバムを制作し、ツアーに出る。
テレビ局のディレクターは、1シーズン分のエピソードを作り、公開していく。
すべての制作活動には、開始日と終了日がある。
クリエイターも今後、前述のような動画公開の自転車操業から、シーズン制導入へと移行していくだろう。
大物クリエイターの中には、既に公開頻度を減らしている人もいる。例えば、世界一のYouTuber、MrBeastが2022年にアップロードした動画はわずか11本である。
シーズンのあるコンテンツを展開、量より質を重視していくべきである。
2 クリエイターの成長に寄り添ったシステムの必要性
従来のエージェント、事務所、マネージャー、といったシステムは、クリエイターの成長に寄り添っていない。
最近のクリエイターの多くは、単なる楽しみにとどまらず、「作品を発表したい」という気持ちを強く持っているのに対し、エンターテインメント業界が、エージェントとマネージャーとタレントの関係を時代遅れに解釈している。
既存のマネージャーや運営側の役割は、映画スターやミュージシャンなど、タレントのために作られた構造になっており、クリエイターのニーズや価値観とは大きく異なるにもかかわらず、そのまま適用されている。
クリエイターは、従来のエンターテインメント・メディアとは異なるニーズを持っている。
予測:クリエイターは従来のエージェント、マネージャー、タレント事務所というシステムを変えていくであろう
「トレンドがどこに向かっているのか知りたければ、音楽業界を追えばいい」
変革の先陣には、常にミュージシャン達がいて、彼らが主要な文化に影響を与えている。
最近の調査で、TikTokでブレイクしたアーティストがレコード会社とより有利な契約を結ぶことができることが判明した。
なかには従来の85:15の収入配分(レベニューシェア)とは対照的に、50:50にしているアーティストも存在する。
既に集客力を持っているため、マネジメントと有利な交渉ができるからだ。
複数クライアントの代理人を務める外部のエージェントや、マネージャーに依存する時代遅れのビジネスモデルではなく、クリエイターは、自分たちでメディア企業を設立、雇用し、給料を払い、自分たちでモチベーションを上げる方向に移行しつつあるため、運営責任者、社長、エグゼクティブ・プロデューサーなど、社内向けの求人が増えていくであろう。
クリエイターのみならずメディア運営、経営陣にとっても、クリエイターとともに長期的な成長していくチャンスにつながっている。
3 マネタイズへの道筋
マネタイズへの明確な道筋がないまま、新規クリエイターが続々と流入している。
短編縦型コンテンツは圧倒的な配信力を持ち、2020年以降、多くのクリエイターのキャリアを飛躍的に向上させたが、短編コンテンツは長期的な収益化にはつながっていないケースが圧倒的。
ちなみに、YouTubeは最近、Shortsのマネタイズ(収益化)プランを発表、クリエイターの短編コンテンツにレベニューシェアが適用、報酬が支払われることを発表したが、クリエイターの一般的な意見としては、短編コンテンツだけでは、収入源としては不十分、という見解である。
すでに多くのフォロワーを持つクリエイターでさえ、短編コンテンツからは満足な収入を得られていないのが現状で、MrBeastやKSIのようなトップ・クリエイターも、TikTokの報酬がごく僅か。YouTubeがクリエイターファンドモデルからレベニューシェアモデルに移行するなど、前向きな展開も見られるが、短編のマネタイズが本格的に始まるのはまだ先と考えられる。
予想:クリエイターの教育やメンター制度が充実していく
TikTokやReelsで多くのフォロワーを獲得したクリエイターが、長編クリエイターや職業クリエイターになるための戦略やビジネスの専門知識を持っているわけではない。
短編コンテンツで本業クリエイターとして生活していけるようになるまでのサポートとして、メンター制度、企業によるサポート、そしてクリエイター自身の行動が考えられる。
メンター制度:クリエイターの進路を見据えた教育コンテンツビジネスが増えていくだろう。
企業:クリエイターの育成を目的とした企業が次々と誕生している。CreatorNow、Nas Academy、Ali Abdaal’s Part-Time YouTuber Academyなど、クリエイターがバックアップする講座型ビジネスがあり、クリエイターを目指す人に講座やコミュニティを提供している。
4 世界経済への不安
現在、世界の経済情勢が、クリエイターにとって不安要素になっている。
不況の定義は人により微妙に異なるが、景気は明らかに悪化している。永遠にこの状況が続く訳ではないが、クリエイターにとっては最近までの好況から一転、不安要素が高まっている。
これを乗り越える方法が幾つか考えられる。
不況下でのクリエイターの活路は、やるか、やらないか、行動次第である。
予想1 基本に忠実なクリエイターは、不況に関係なく成功する
不況になると、あらゆる企業が基本に立ち戻らざるを得なくなる。そのためにクリエイターに期待することは、次のようなことが挙げられる。
- 外注と内製を使い分け、きめ細かく対応する
- 新商品の発売を減らし、成功している面に重点を置く
- 視聴者、広告主、人材などで起こっている状況を現実的に把握すること。物事は急速に変化していくため。
この手法は非常にシンプルで、クリエイターという職業の特性にも関係するものだ。
世界経済が、個人や家庭の消費に影響を与える可能性はあるが、不況だからと言ってお気に入りクリエイターのフォローを解除することは稀である。
予想2 賢いマーケティング担当者は、その場の状況を見極め、予算を調整する
一般的に、企業は財政圧縮を求められると最初にマーケティング費用を削減する傾向にある。
現在、成功する広告キャンペーンとは、膨大な量やリーチではなく、ブランドのメッセージが、適切なタイミングで、適切な場所に、適切な人を見つけること。
同じ目的を持ったコミュニティを中心にブランドを作り上げてきたデジタルメディアクリエイターがまさに最適任者なのだ。
不況下でも広告を成功させる鍵は「ピンポイント」。
ニッチな視聴者にピンポイントで対応できるクリエイターは、不況を切り抜け、安定収入を得ることができるであろう。
そして、クリエイターは、これまで通りに変化に対応していくでしょう。
クリエイターのDNAには適応力が備わっている。アルゴリズムの変化に対応、視聴者と共に成長するために変身、不況を乗り切るための戦略転換など…クリエイター業界には変化がつきもの。
自分の能力、発信するものだけに限定されるものではない、と自覚し、好奇心と独創性を発揮して、自分の道を切り拓いていけば、活路は見える。
クリエイターには、不況に負けない武器「聡明な頭脳」がある。
出所:The Publish Press’ “4 Predictions for the Creator Economy”