(以下はInformation誌の「クリエイターエコノミー4大変化予想」記事を要約したものであり、元の記事・内容については当社が独自に制作・発信しているものではございません。)
コンシューマーブランドを立ち上げるクリエイターが増加
従来のクリエイターは他社商品を販売することが多かったが、今年はオリジナルブランドを立ち上げるクリエイターが増加した。オリジナルのピザレストランをオープンした者もいれば、YouTuberからボクサーに転身、さらにオリジナルの栄養ドリンクを販売し、大成功したものもいる。食品や靴などの消費財の販売による事業拡大、そして、オリジナルブランドの普及を目指すクリエイターが増えているようだ。
動画吹き替えが主流になる
Netflixが人気番組を多言語に吹き替えるのと同様に、スタートアップや大手プラットフォームが字幕以外の翻訳技術に力を入れていくと予想される。
Mr. Beastは、スペイン語、ロシア語、ポルトガル語、フランス語に対応したYouTubeチャンネルを開設、この分野のパイオニア的存在となっている。
動画に多言語吹き替えを施すことで、クリエイターはより多くの、幅広い視聴者にリーチできるようになる。
ソーシャルメディア、”ソーシャル”を再び強化
InstagramなどのソーシャルメディアがTikTokのアルゴリズムの後追いをしたが、それが却って不評、「友達と繋がりにくくなった」と、ユーザーの反発を招いた。
今後、ソーシャルメディアは軒並み”ソーシャル”機能にフォーカスするようになるだろう、と同誌は予想している。
既に、Instagramのアダム・モッセリ氏は、今年の優先事項に「人と人のつながりを呼び起こす」ことを掲げており、TikTokはソーシャル機能を重視、友達機能1の拡張に力を入れているようだ。
新たな収益源が普及
過去1年半、ソーシャルメディアは、クリエイターのマネタイズ支援に言及してきた。しかし、Instagramアフィリエイトプログラムや、TwitterやFacebookのニュースレター機能など、終了したプログラムもある2。
今後クリエイターは、不況を乗り切るため、広告主との取引だけでなく、YouTubeのShorts向けレベニューシェア、SpotterやCreative Juice3などの新興企業やベンチャー企業からの直接融資など、新たな収入源にも目を向けていくだろう。
クリエイターファンドについては、今後消滅の一途を辿ると予想される。
1 友達タブ、TikTok Now、For Youページの内容更新
2 https://help.instagram.com/581305936729126?helpref=faq_content
2022年8月末日をもって廃止。関連記事
3 Creative Juice:クリエイターのための銀行&金融サービス
FDIC保険付きカスタムメイドの銀行で、デジタルカードと現物カードの両方が利用でき、また、利用時にキャッシュバックがある。クリエイターの事業は前例が少ないので銀行から融資を受けることが難しい。そこに目を付けたサービス
昨年、的中したこと(及び外れた予想)
- クリエイターに特化したスタートアップやベンチャー企業への出資ブームは長続きしない、と同誌は予測した。
実際、買収に応じたり、完全閉業したスタートアップもある。
クリエイター関連のスタートアップに対する資金提供は、昨年比50%減の25億ドルに留まったとの調査報告もある。
資金が枯渇する一方で、広告主からのインフルエンサーに対する支出は、同誌の予測通り増え続けているそうだ。
インフルエンサーが広告主と行ったキャンペーン数は、2021年から50%増加したそうだ。
景気低迷が続くなか、今年、広告費の引き下げがどの程度の影響を及ぼすかは予測が難しいとのことだ。
逆に、外れた予測が二つ述べられている。
- Web3への転換については昨年初頭こそ順調だったが、以降、暗号の分野は打撃を受け、NFTコレクションの価格は暴落した。MetaはFacebookとInstagramでNFTを開始したが、YouTubeはまだNFT取引に向けた独自マーケットプレイスを展開していないようだ。
- テック企業がクリエイターの燃え尽き症候群に対処し始めたらよいとの希望的観測もあった。この面ではあまり進歩が見られなかったが、クリエイターがInstagramやLinkedInで事前に投稿予約できるようになったのは、少しではあるが前向きな展開だと思われる。