(以下は、The Informationsの記事「TikTok、ブーム終焉に伴い新たな戦術で成長に弾み」を元に要約、翻訳編集したものであり、元の記事・内容については当社が独自に制作・発信しているものではございません。)
TikTokは米国での視聴者数の伸びが鈍化、2022年12月には月間ユーザー数が同年1月に比べて3.5%減少した。これを受けてTikTok首脳陣は、今後数年間の成長を再び活性化させる必要性について議論し、ユーザーと友人をつなぐ新機能によるエンゲージメントの向上や、収益を高めるショッピングへの進出などの方法を検討した。
まとめ
- TikTokの新機能により、ファンはクリエイターの動画に対して課金を行えるようになる可能性がある
- Creator Fund 2.0は、クリエイターの報酬拡大を目的としている
- 同ファンドは、早ければ来月にも米国でローンチされる可能性がある
TikTokは、視聴者を拡大するために、年配のユーザーの獲得とクリエイターへの報酬の向上に取り組んでおり、これにはクリエイターが動画を見るためにファンに課金できる有料動画機能や、新しいCreator Fund 2.0が含まれている。
米国では減速に直面しているが、米国外の市場では成長を続けている。
TikTokは、国家の安全保障を脅かすという非難の中で、成長の課題を整理しようとしている。過去数年の爆発的な成長がいつまでも続くとは思えず、いずれTikTokの成長が鈍化することは避けられないと、あるアナリストは述べている。
米国ではTikTokの成長が鈍化しているものの、同アプリの影響力は依然として大きく、FacebookやInstagramといったライバル社はその急成長に追いつこうと躍起になっている。
TikTokは経済の乱気流をうまく乗り切っており、同社は大量解雇や人員削減を発表していない。
しかし、親会社であるByteDanceの所有権に関する懸念に端を発した規制上の問題に直面しており、いくつかの州や大学がアプリを禁止、TikTokの幹部はバイデン政権とその将来をめぐって交渉している状況である。これに対し、TikTokはユーザーデータの安全性を保つための取り組みを開始し、CEOは3月に議会で証言する予定だ。
年配層へのアプローチ
TikTokは、10代でInstagramやSnapchatを人気が上回るなか、より年配のユーザーを引き付け、成長を再開しようとしている。
同社は、年配視聴者にアピールすべく、プロが作成したコンテンツ(PGC)をより多くアプリ内にもたらすことに力を注いでいる。
TikTokの初期のプレミアムコンテンツ誘致の取り組みは裏目に出て、アルゴリズムが誤って海賊版の映画クリップをプッシュしてしまった。
最近の取り組みとしては、The New York TimesやThe New Yorkerなどのメディアブランドを集めている。
パブリッシャーは、アプリ用動画を作成するため金銭的優遇措置を求めているが、同社はこれに抵抗、代わりにTikTokの動画作成についてパブリッシャーを教育するトレーニングを提供している。
同社は、「パルス」と呼ばれるトップクリエイターとパブリッシャー向けの限定的な広告収入共有プログラムを開始した。
迷走するテクノロジー
TikTokは、パブリッシャーや他のプロのコンテンツ・ソースを獲得しようと模索しているが、同アプリの主力事業は動画を配信してフォロワーを増やしたクリエイターたちであり、彼らの多くがYouTubeのように直接収入を得られず苦労している。
2020年に設立した10億ドルのクリエイターファンドでは、クリエイターの多くが月に数ドル程度しか稼げなかった。
そこでTikTokはクリエイターへの支払いをより手厚くしたCreator Fund 2.0の制作に着手、最低フォロワー数を1万から10万に引き上げる代わりに、支払額を増やせるよう準備している。
また、より長い動画を作成したクリエイターへの報酬としてこの基金を利用することも検討、動画上限を3分から10分に拡大した。Creator Fund 2.0は現在フランスとブラジルでテスト中、来月米国で開始される予定とのことだ。
TikTokはまた、クリエイターとプラットフォームにより多くの収入をもたらすため、ペイウォールビデオ機能、クリエイターマーケットプレイス、ショッピング構想を検討している。
しかし、専門家によると、TikTokは、プラットフォームの成功の原動力である活発なクリエイターコミュニティを維持するために、クリエイターのモチベーションを維持する必要があるとのことだ。
出所 TikTok Turns to New Tactics to Spur Growth as Boom Times End