(以下は、Marketing 誌のB2Bインフルエンサーに関する記事を翻訳・編集したものであり、元の記事・内容については当社が独自に制作・発信しているものではございません。)
インフルエンサーマーケティングは、過去10年間にブランドと消費者の関係に革命をもたらした。
かつて業界にとって脅威とみなされたインフルエンサーは、より多くのターゲット層に対し認知度を高め、購買促進方法の提供者となった。
しかし、企業間取引(B2B)企業がクリエイターエコノミーの価値を認識したのはごく最近のことであり、インフルエンサーとの関わりは始まったばかりだ。
B2Bインフルエンサーの人気が急速に高まっていることは間違いなく、インフルエンサー自体も日々増えてきている。
彼らの人気の理由は何だろうか?
YouTubeやInstagram上のインフルエンサーを発見、分析するプラットフォームHypeAuditor社のCEOで共同創業者アレックス・フロロフ氏が、B2Bインフルエンサーのキャンペーンを実施する際の課題を含め、この新分野の将来について語ってくれた。
B2Cの成功事例を活用する
B to C市場におけるインフルエンサーマーケティングは、クリエイターがオーディエンスと築き上げる高い信頼関係によって利用が急増してきた。クリエイターは、自身のブランドと相性の良い商品を紹介することが多いため、ブランドの宣伝と比較して、より本物らしさを感じることができる。この効果は、B2Bインフルエンサーにも当てはまる。
B2C同様、B2Bビジネスではオーディエンスとの長期にわたる強固な関係構築が最優先事項である。通常、こうしたターゲットには、見込み企業の意思決定を行う重要な幹部が含まれる。
一般消費者とは異なり、企業はビジネス上の購買をじっくり検討する傾向にあるため、長期にわたるコミュニケーションの維持することが将来的な売上につながる重要な鍵となる。また、企業はインフルエンサーのキャンペーンに業界の専門家やオピニオンリーダーを選ぶことが多いため、ターゲット層は販売されている製品やサービスに価値があると確信し、購入に踏み切る可能性が高くなる。
さらに、コンシューマ分野におけるナノ・インフルエンサーやマイクロ・インフルエンサー同様、B2Bの小規模でニッチな オーディエンスは、関連性の低い多数のオーディエンスよりもビジネスにとって好ましい場合がある。実際、トップランク社の調査によると、B2Bブランドの87%が、インフルエンサーを探す際に関連性の高いオーディエンスを必須条件としている。
B2Bインフルエンサーは、マーケティング、フィンテック、ITなど、特定の分野に焦点を当てる傾向があるため、ソーシャルメディア上で企業が必要とする厳選されたフォロワーをもたらす。
B2Bインフルエンサーマーケティングの課題
B2Bマーケティング戦略の一環としてインフルエンサーを活用することは、非常に良い成果をもたらす一方、課題も存在する。
前述の通り、彼らは特定の分野に特化していることが多い。ブランドの理念やターゲット層に彼らが合致しているか、売り込む製品やサービスを実際に理解しているかどうかを丹念に調査することは、貴重な時間と企業のリソースを消費することになりかねない。その上、インフルエンサーのフォロワーを評価し、対象として妥当であるかを検証するのも大変な作業となる。どのソーシャルメディアでも、アカウントが無効、あるいは不正(ボット、偽プロフィールなど)である可能性もあるため、インフルエンサーのフォロワーが本物であるかどうか吟味することは不可欠だ。
B2Bインフルエンサーとの適切なコミュニケーションもまた、企業の悩みの種となりうる。報酬、スケジュール、コンテンツの期待値に関して、個人的なメッセージと透明性の適切なバランスを見つけることが、パートナーシップを確立するうえで非常に重要となってくる。
しかし、こうした課題の多くは、インフルエンサーマーケティングのテクノロジーを活用し、そのキャンペーンを管理することで解決できる。人工知能(AI)や機械学習(ML)のプラットフォームが複数存在し、企業が発信プロセスを効率化し、インフルエンサーのアカウントを分析(エンゲージメント率、投稿インプレッション、成長指標、オーディエンスインサイトなど)し、キャンペーンの進捗を監視できるようになっている。
B2Bクリエイターエコノミーの展望
新型コロナウィルス感染症の世界的流行以来、B2Bインフルエンサーの成長が加速しているとはいえ、まだ、彼らを使ったキャンペーンは、インフルエンサーマーケティング支出全体の数パーセントに過ぎない。クリエイターエコノミーを積極的に活用するB2B企業数は、今後数年間で増加の一途を辿るだろう。それに伴い、B2B業界のインフルエンサーを自認する人が急増、現在B2C業界で見られるようなインフルエンサーの過密状態が発生すると予想される。
また、従業員インフルエンサー、つまり、従業員が自社の製品やサービスを売り込むことも、着実に人気を集めているトレンドのひとつだ。従業員がインフルエンサーとなることで、ターゲットとなるユーザーに信頼される情報発信源となり、ブランドイメージも向上、採用活動にも好影響となるだろう。
最後に、B2Bインフルエンサーマーケティングは、今後一層、親しみやすいものになっていくだろう。
B2Bインフルエンサーというと、ソフトウェアや専門サービスのメリットを詳しく説明する、長くて堅苦しいLinkedInの投稿をイメージする人が多いだろう。しかし近い将来、より多くの企業がユーモアのある、TikTokやInstagram Reelsなどの短編コンテンツやミームを用いてターゲット・オーディエンスにインパクトを与え、より個人的なレベルでエンゲージメントを高めていく企業が増えると予想される。
B2Bインフルエンサーの領域はまだまだ新しく、今後の展開についてはまだ不確定な部分が多い。しかし、間違いなくこの領域は今後も続いていくと言える。
出所:Marketing Mag “B2B influencers are on the rise: what does this mean for brands?”