(本記事はForbesが行なったカビー・ラメ氏へのインタビュー記事の概要と、インタビュー全文を翻訳したものであり、元の記事・内容については当社が独自に制作・発信しているものではございません。)
パッション・エコノミーがキャリアやリーダーシップをどのように変化させるかについて
「公営住宅に住み、工場で昼夜働いていた私が今、アカデミー賞に目を向けています」
2020年、パンデミックによって世界がひっくり返るなか、イタリアで、とある20歳の工場労働者が解雇された。
それから12ヵ月後、その若者はソーシャルメディア上で2億人以上のフォロワーを抱え、TikTokでアディソン・レイを抜いてフォロワー数世界1位に輝くクリエイターとなっていた。
2022年、彼はスーパーモデルのケンダル・ジェンナーとともに、「BOSS」にリブランドされたヒューゴ・ボスの顔になった。
その間、ひと言も発することなく…。
彼の表情や象徴的なジェスチャーを見たことがある人は多いだろう。しかし、本当のカビー・ラメとは何者なのか、そしてソーシャルメディアの先にある彼の計画とは?
ミラノで丸3日間、カビー・ラメと一緒に過ごし、彼という人物を感じ取ることができた。彼の話、背景、そしてこれからの新しい旅を通して、ヨーロッパがアメリカに追いつき、パッション・エコノミー(情熱経済)が未来の仕事のあり方、人々の生き方や 進歩のパラダイムにおけるリーダーシップを劇的に変化させていることを理解した。
カビーは、ミラノ中心部にあるタレント事務所、アイアン・コーポレーションに所属している。
@khaby.lame
工場から世界の舞台へ
「ここでは、平日も週末も関係なく、毎日が良い感じに調和しているんだ。」
アニメキャラの入ったヘッドストラップを付け、TikTok動画撮影に使ったばかりの木の棒を持ったまま、彼はイタリア語で語る。
「今、英語の勉強をしているんだ。楽しくて、どんどん覚えられるよ。」
カバンヌ「カビー」ラメは、2000年にセネガルで生まれ、1歳のときに北イタリアの小さな町チバッソに移住した。
自称「普通の子」だが、サッカーと「アニキ」が大好き。、周囲を楽しませることにも長けている。
イタリアでパンデミックが急速に広まるなか、職を失ったカビーは実家に戻り、友人や家族から新しい仕事を探すよう強く勧められた。
「パンデミックになって暇だったから、TikTokで動画を作り始めたんだ」と笑いながら話る。
彼の動画は、複雑すぎる「ライフハック」や人生における一般的あるいは奇妙な問題解決策への、風刺を込めたリアクションといえるだろう。
最も人気のある動画は、警察官がドアを開けるために回し蹴りをする一方、取っ手をまわしそっとドアを開ける、というもの。お決まりの、両手のひらを広げたお決まりのジェスチャーで締めくくる。解決策がいかにシンプルかを表現している。
別の人気動画では、筋肉隆々の男性がリンゴを両手で握り潰そうとがんばっている一方で、ナイフでリンゴをさっとスライスし、サッカー界のスター、デル・ピエロに渡す、というカビー。ここでも「解決策はシンプルなこと」だ。
こういった動画が多くの視聴者を魅了、カビーは世界3位のトップスター、アディソン・レイ(TikTokフォロワー8,890万人、Instagram3,940万人)やドウェイン・ジョンソン(リングネーム『ザ・ロック』、TikTok6,500万人、Instagram3億5,600万人)などの殿堂入りTikTokクリエイターたちを凌ぐまでに登りつめた。
以下、インタビュアーによるカビー氏へのインタビュー全文
インタビュアー:グスタフ・ルンドベリ・トレソン
- あなたのコンテンツを見たことがない人に、ご自身をどのように説明しますか?
-
私はシンプルな人間ですが、アイデアと想像力に満ち溢れています。いつも人々を笑わせていたい、そこに情熱を傾けています。私には大きな夢があり、それを達成するまで進み続けるつもりです。現在の仕事も、その夢が実現したものです。
- 今、あなたは多くの人の夢をかなえ、1年半足らずで膨大な数のフォロワーを獲得しています。フォロワーとの関係については、どのようにお考えですか?
-
フォロワーは私の家族であり、彼らなしに今の私はありえません。フォロワーを単なる数字とみなさず、オフラインとオンラインの両方で関係を築きたいのです。実際にお会いし、人生で関わりたい。
私は常に嘘のない、信頼できる動画を撮り続けていきたいと思っています。近い将来、私はフォロワーの皆さんに沢山のサプライズを用意する予定です。 - あなたのコンテンツは、あるテーマに沿って作られていますね。どこから発想を得ているのですか?
-
だいたいが日常生活から来ています。ネットやTikTokなどのソーシャルをざっと見てアイデアを探します。これが簡単じゃないんですよ。毎日最低でも3時間はネタ用のビデオを探します。自分の動画で誰かを不快にさせなることがないよう常に気を配り、軽いノリのパロディで冗談を言うのが好きなんです。私が喋らないのは、言葉よりもジェスチャーを用いることで、より多くの人たちにリーチできるからです。私は、誰もが理解できる世界共通語を話しているつもりです。
- 文字通り一貫してミュートなんですね。マネージャーのリジオ氏とは最初のビデオを作ってから知り合ったそうですが、チームを組んだ経緯を教えてください。
-
私はもともと大のサッカーファンで、ある日、ユベントスの選手たちがアレッサンドロと一緒にTwitchでゲーム実況をしているのを見ていたんです。私は彼らの注意を引くために、チャットにひたすら書き込みました。100回以上メッセージを送って、やっと気づいてもらえたんです。決してあきらめないでください!
その後、アレッサンドロと私はすぐにつながり、すぐに親しい友人となり、今では兄弟のように一緒に暮らしています。お互いをとても信頼し、同じ価値観を共有できています。個人的な関係や仕事上の関係にとって、非常に重要なことですね。 - あきらめずに粘り強く、ですね。欲しいものがあれば、それに向かって突き進み、手に入れる。あなたたちはとても仲の良いチームのようで、毎日の仕事に情熱を持って取り組んでいるように見えます。あなたにとっての人生の情熱とは?
-
毎日、起きたら、好きなことをしています。お金持ちになりたいとか、有名になりたいなんて思ったことはありません。子どもの頃から、人を笑わせたり、皮肉を言って楽しませるのが好きでした。私は、ウィル・スミスとエディ・マーフィーが大好きです。彼らが自分を信じる力を与えてくれました。彼らのコメディは、見る人にストレートに分かりやすく伝わりますよね。
- 目標に向かってとても集中しているのですね。1日の過ごし方を教えてください。
-
朝はジムで汗を流します。その後、英語の勉強をしたり、演技のレッスンを受けたり、後日収録するコンテンツの新しいアイデアを探したりします。常に忙しく、次のステップに進むよう努力し、じっと座ってだらだらすることはありません。毎日、自分の夢を追いかけるためにベストを尽くしています。
- 夢といえば、将来の計画について教えてください。
-
私の夢は、アメリカに行って、俳優として映画に出演することです。コメディ俳優になって、憧れのウィル・スミスと共演したい。ひょっとしたらオスカーを狙えるかもしれませんよ!
そしていつか、マネージャーのアレッサンドロと一緒に、私たちの会社アイアン・コーポレーションを世界一のエージェンシーにしたいです。今は、勉強を続け、自分のやることに一貫性を持たせ、あきらめないことです。
- あなたの夢はきっと叶うと思います!
これまでにあったクレイジーなエピソードを教えてください。 -
私にとっては、すべてのストーリーがクレイジーです(笑)毎日が新しい旅であり、発見なのです。クレイジーといえば、デル・ピエロやイブラヒモビッチ、ウサイン・ボルトといった、いつも追いかけ、憧れてきた人たちとの、まさかのコラボレーションはクレイジーでした!!!この数カ月を振り返ってみても、いまだに信じられません!
- イブラヒモビッチとのコラボレーションは、どのように実現したのですか?
-
マネージャーのアレッサンドロがイブラヒモビッチのファイナンシャル・アドバイザーと知り合いだったので、動画のためのコラボレーションを提案したんです。私にとっては、ありえないような超現実的な話でした。
私はサッカーの大ファンで、イブラヒモビッチはなかでも最も偉大な人です!本当に楽しかったです。ただ、私はユヴェントスを応援していますよ(笑)
- イブラヒモビッチのビデオを見たとき、スウェーデン人としての私のハートが温かくなりました。
憧れのコラボレーションはありますか? -
ズバリ、私の憧れ、ウィル・スミスとの共演です。あと、天才俳優エディ・マーフィーともコラボしてみたいですね。「ザ・ロック」のドウェイン・ジョンソンも尊敬しています。彼の決意や精神的な強さは素晴らしい手本となっています。
- フォロワーが10万人から1億人になったときの気持ちを教えてください。
-
こんなに多くの人が私を応援してくれて、好きなことをするチャンスを与えてくれていることに、とても感激しています。楽しみで始めたことなので、こうなるとは予想外でしたし、何も期待していませんでした。私自身の生い立ちや歩んできた道が、夢を信じて前進する原動力となっています。努力と忍耐があれば、夢は実現できると実感しています。
- それが、今の素晴らしい成功につながったのですね。経済的にはどう変わりましたか?
-
ブレイク前の生活とはずいぶん変わりました。以前は社宅に住み、昼も夜も工場で働きながら生活していました。
今、自分ができることにとても感謝しています。ずっと願っていた、家族や昔からの友人、地域の人たちを助け、困っている人たちをチャリティーで支援することができるので。本当にありがたいことです。
- ソーシャルメディアが成長してきた現在、世の中にはどのような誤解があると思われますか?
-
ソーシャルメディアでも現実でも、人々は他人の判断に影響されやすいですね。
誰かが「無理だ」「やってはいけない」と言っただけで、夢を追いかけることをやめてしまうなんて。私は、どんな人でも自分の人生を充実させることができる、ということを体現しているつもりです。
フォロワーを人気や富、幸福と結びつけて考えることは間違っていると思います。
そうではなく、自分が好きなことをすること、良い手本となること、そしてそれを他の人と分かち合うことから幸せが生まれると考えています。 - あなたの夢は何ですか?
-
私の最大の夢は、オスカーを獲得することです。もし実現したら、それは最高の栄誉ですし、「わあ、私は本当に成功したんだ」と言えるでしょう。
- これを読んでいる、夢はあるけれども、まだ本格的に踏み出せないでいる人に、何か言いたいことはありますか?
-
自分の夢を信じること。不可能なことなど無いのですから。信じることができれば、実現できるのです。
私にできたのですから、あなたにもきっとできます!
出所 Forbes “Khaby Lame On How He Won TikTok And His Plan For The Oscars“