(以下は、TechCrunchのSMORESに関する記事を翻訳・編集したものであり、元の記事・内容については当社が独自に制作・発信しているものではございません。)
音楽配信プラットフォームは、AIと手動キュレーションの双方を駆使して、新進アーティストの曲を発掘しているそうだが、ユーザーは、推薦アルゴリズムを管理できないため、お気に入りにたどり着くためにたくさんの曲を聞く必要がある。
ルーマニアの開発者二人組、アレックス・ルーバーとアンドレイ・パトゥルはこのプロセスを改善、新しい音楽を簡単にライブラリに追加できるアプリSmoresを開発した。Smoresは無料のiOSアプリで、ユーザーは自分の視聴履歴に基づいた曲の短いクリップを視聴、TikTokのように縦型フィードを使用して曲をスキップできる。
このアプリはSpotifyアカウントに接続、Spotify APIを使用して新しい曲を検索する仕組み。曲のクリップが気に入ったら、「いいね」ボタンをタップすると、Spotifyアカウント内の「Smores finds」というプレイリストに追加される。また、既存のプレイリストに追加することもできる。
開発者は、自分たちで新しい音楽を発見するためにこのアプリを作り、昨年9月に同アプリを立ち上げたそうだ。
「新しい音楽を見つけるのは大好きですが、お勧め音楽が多すぎて選別に時間がかかり過ぎていました。『正しい』クリップを聞けばその曲が好きかどうか分かるとも直感していましたし、Shazamアプリが人気の理由もそこだと思いました。」
二人は、検索アルゴリズムの管理を強め、アプリに透明性を持たせたかったと語る。そこで、Smoreにはユーザーの推奨フィードを変更するための管理機能を多く組み込んだ。ユーザーはその月のトップ6ジャンルに基づいて選択肢を絞り込める。アプリで多くの音楽を聴き、お気に入りを増やしていくことで推奨の内容は変化していく。
アプリ詳細設定では、再生時間の設定(5~60秒)、Spotifyフォロワー数による検索の絞り込み、BPM(1分あたりの拍数)、曲のキー、リリース日による絞り込みなどが可能。
このアプリの強みは、同じ曲を二度聞かずに済む点。さらに、再生されるクリップがその曲の「ベスト」な部分になるよう、アルゴリズムが微調整されている。適切なクリップを再生すれば、ユーザーは5秒以内にその曲を好きになる傾向があるそうだ。
ユーザーの定着と今後の計画
使って楽しいとはいえ音楽発見アプリへのユーザーの定着化は難しいものだが、現在のところ、かなりのユーザー(8週目で定着率7%)を維持している。
カジュアルなリスナーは、3カ月に1回程度、積極的に新しい音楽を探す。
彼らに加え、DJ、プレイリストの管理者などに、このアプリの使いやすさ、スピード、便利さ、そして推奨の質の良さが好評だとのこと。
現在、チームはSmoresラジオのような機能を開発し、Apple Musicや他のストリーミングプラットフォームとの統合を目指している。将来的にはAndroid版、プレミアム(有料)版も検討しているようだ(詳細未定)
音楽でもっとAIを
音楽の検索や配信にAIが増えてきたことを不満に思う音楽ファンもいる。それでも、企業やアプリ開発者のAI依存が高まっているのは、ボタンやフィルターでアルゴリズムをよりコントロールできるようにするためだ。
ByteDanceの音楽アプリResso(レッソ。現在、インド、ブラジル、インドネシアでのみ利用可能)は、カジュアルなリスナーに新しいアーティストを見つけてもらうため、縦型フィードと同社お得意のAIの腕前を駆使している。同社はTikTok Musicの世界的な立ち上げを目指しており、AIによる音楽推奨は、このサービスにおいて重要な役割を果たすと思われる。
アプリ開発者も、音楽アプリへの機能追加にAIの力を借りている。
フェスのポスターをプレイリストに変換するアプリ「ラインアップサプライ」は、プレイリストAIに名称を変更した。このおアプリには、「1990年代に流行したダンスアーティスト」といったプロンプトを書き込むとプレイリストが生成される新機能も導入されている。
出所:TechCrunch “Smores is a music discovery app with a TikTok-like feed”