OpenAIの「dots」は“常時稼働の部下”になるか──月100ドルから使える常駐エージェントとSlack/Teams連携を、事務所・D2Cの運用でどこまで任せるか

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OpenAIは2026年9月29日(米国時間)、米サンフランシスコで開いた開発者会議「DevDay 2026」で、常時稼働型のエージェント「dots」を発表した。公式の発表を伝えるimplicator.aiやinnfactoryによれば、dotは1体ずつ専用のクラウド上のコンピューターとブラウザを持ち、GPT-6 Astraで動く。利用者がPCを閉じたりログオフしたりした後も作業を続け、プラグインを通じて4,000を超えるアプリにつながる。ChatGPTのほか、SlackやMicrosoft Teamsからも話しかけられる。

同じ日に月額500ドルの新プラン「Pro 500」も発表されたため、二つを結びつけて報じる記事もあった。ただ、複数の報道を照らし合わせると、dotsは月100ドルのProプランから使え、1体目は追加料金なしで付いてくる。法人向けではBusiness Premiumの席(月払いで1人125ドル)が対象になる。Pro 500で増えるのは、主に処理速度「Ultrafast」と利用枠であり、dotsそのものではない。日本は個人向けProの除外地域(EEA・スイス・英国)に入っていないが、日本を名指しした提供の記載は確認できなかった(10月8日時点)。

本稿では、まずプランごとの条件を整理し、月額を人件費や外注費に換算して、元を取るために必要な業務量を計算する。そのうえで、dotsの4段階の権限設定に合わせて、クリエイター事務所の1日の業務を「任せてよい」「確認が要る」に仕分ける。Amazonの出品者向けAIを扱った10月6日の記事はECの運営を任せる話だったが、dotsは個人やチームの事務作業を任せる常駐型であり、論点が異なる。

目次

何が発表されたか──専用のコンピューターを持つ「常駐の担当者」

dotsが従来のChatGPTと違うのは、会話が止まっても作業が止まらない点にある。DataCampによれば、OpenAIのヘルプはこの違いを「会話が止まってもdotは働き続ける」と一言で説明している。予定の確認を毎朝行うといった定期作業を組むことができ、その実行状況は「Scheduled」タブで、実行中・一時停止中・完了に分けて確かめられる。

記憶の扱いも業務で使う前に知っておきたい。DataCampによれば、dotはChatGPTに保存された記憶を引き継ぐほか、接続したアプリからも独自に記憶を作る。そして、dot自身の記憶を消すにはdotごと削除するしかなく、アプリの接続を外しても、そのアプリから学んだ内容は消えない。リセットすると、dot本体、会話、記憶、予定した作業は削除されるが、dotが作ったファイルやChatGPTの会話は別に保存されていて残る。所属クリエイターの個人情報や未発表の案件情報を扱う事務所では、どのアプリを接続するかを最初に慎重に決める必要がある。

連絡手段としては、ChatGPTのアプリ(作成はデスクトップ版かデスクトップのWebからに限られ、作成後はモバイルからも話しかけられる)、Slack、Teamsが使える。SMSは米国のPro利用者に限った一部のベータにとどまる。なお、The Next Webによれば、同じDevDayでは、SlackやTeamsのチャンネルで「@ChatGPT」とメンションして作業を頼める機能も発表された。窓の杜によれば対象はBusinessとEnterpriseで、The Next Webによれば、チームメンバーが各自ChatGPTのライセンスを持つ必要はなく、接続したツールで操作する前に承認を求める。Slack/Teamsで動くAIという点は似ているが、常時稼働のdotsとは別の機能である。

プランと料金を整理する──「Pro 500が必要」は誤り

導入の判断で最初に押さえるべきなのは、dotsを使うためにどのプランが要るかである。発表前には「200ドルのプランが必要になる」との観測もあったが、implicator.aiによれば、発表ではdotsは100ドルのProから使えることになった。各報道をもとに、9月29日時点の条件を整理する。

プラン 月額(米ドル) dots 主な条件・変更点
Plus 20ドル 対象外 ChatGPT WorkやCodexを通じてGPT-6 Astraは使える
Pro 100ドル 1体目は追加料金なし EEA・スイス・英国では当面使えない
Pro 200 200ドル 1体目は追加料金なし 10月30日からChatGPT WorkとCodexの利用枠がPlusの20倍から10倍に縮小
Pro 500 500ドル 1体目は追加料金なし Proの中で唯一Ultrafastが使え、利用枠もProで最大(倍率は非公表)
Business Premium 1席125ドル(年払いは100ドル) 含まれる 対応しているすべての地域で提供
Enterprise/Edu/Healthcare 個別見積もり ベータ 管理者が有効にするまで使えない

価格と利用枠はimplicator.aiとThe Next Web、地域の条件はinnfactoryとDataCampによる。The Next Webによれば、UltrafastはCodexで毎秒最大300トークンを生成し、通常の最大8倍の速さになる。大量のコード生成や重い処理を急ぐ開発者向けの性格が強く、事務作業をdotに任せたいだけなら、100ドルのProかBusiness Premiumが出発点になる。

一方で、費用が変わりうる点にも注意したい。innfactoryによれば、dotsの利用は最初の1か月は各プランの利用枠に数えられないが、その後の条件はまだ示されていない。implicator.aiによれば、dotとの会話は利用枠を消費しないが、CodexやChatGPT Workから始めた作業は消費する。OpenAIは今後、dotを追加したり、dotの速度や月の作業量を引き上げたりできるようにする予定だが、その料金は発表されていない。1か月目の使い心地をそのまま費用対効果の前提にしないほうがよい。

月額は何時間分の仕事か──損益分岐を人件費で再計算する

月100ドルや500ドルが高いか安いかは、dotが人の作業時間をどれだけ肩代わりするかで決まる。ここでは月額を円に換算し、時給換算の人件費・外注費で割って、元を取るのに必要な「正味の削減時間」を出した。為替は1ドル=150円、時給は2,000円(外部のアシスタントへの外注を想定)と3,000円(社会保険料などを含めた社員の負担を想定)と置いた。為替と時給はいずれも本稿の仮定で、税は含めていない。

プラン(月額) 円換算 時給2,000円の場合 時給3,000円の場合 確認に3割かかる場合(時給2,000円)
Pro(100ドル) 15,000円 月7.5時間 月5時間 月約10.7時間(1日約32分)
Business Premium(125ドル・月払い) 18,750円 月約9.4時間 月約6.3時間 月約13.4時間(1日約40分)
Pro 500(500ドル) 75,000円 月37.5時間 月25時間 月約53.6時間(1日約2.7時間)

右端の列は、dotの成果を人が確認する時間を差し引いたものだ。dotが10時間分の作業をしても、その確認に3時間かかれば、浮くのは7時間にとどまる。そこで、必要な代替時間を0.7で割って求め、1か月の営業日を20日として1日あたりに直した。この計算から読めるのは、100ドルのProなら、1日30分強の定型作業を任せられれば外注費の水準で元が取れるということだ。一方、Pro 500を事務作業のために選ぶと、1日3時間近くを肩代わりさせる必要があり、ハードルが一段上がる。Ultrafastや大きな利用枠を使う開発・制作の用途がない限り、事務所やD2Cの担当者がdotsのためにPro 500を選ぶ理由は乏しい。

ただし、この計算は月額だけを比べたものである。1か月目以降の利用枠の条件が示されていないこと、dotの追加料金が未定であることに加え、誤送信や誤った請求処理が起きたときの手戻りの費用は含めていない。削減時間を測る際は、任せた作業ごとに「人がやった場合の時間」「確認にかかった時間」「やり直しの有無」を1か月記録してから、続けるかどうかを判断したい。

権限の4段階と安全の仕組み──何が初めから人に戻されるか

dotsの設計で実務上重要なのは、操作の種類ごとに任せ方を決める「Custom Rules」である。DataCampとinnfactoryによれば、操作ごとに「確認なしで実行する」「事前に指示・承認されたときだけ実行する」「実行の前に毎回確認する」「人に引き渡して自分では実行しない」の4つから選ぶ。「事前の承認」とは、利用者がプロンプトの中でその操作を明示的に頼んだ場合を指す。

利用者の設定とは別に、初めから組み込まれた制限もある。innfactoryによれば、アカウントに影響する操作や情報を外に出す操作は「Auto-review」が利用者のルールと安全要件に照らして確かめ、メールなら宛先と本文が確認される。パスワードの変更と送金は、設定にかかわらず必ず人に戻される。完全な削除や素性のわからないソフトのインストールには確認が要り、カードでの購入は具体的に書けば事前に承認できる。ログイン情報はモデルから見えない別の入力欄で受け渡されるが、チャットに直接打ち込んだパスワードはこの保護の対象外だ。手元のPCへのアクセスは初期状態でオフになっている。OpenAIは安全性に関する公式の解説で、プロンプトインジェクション(外部の文章に紛れ込ませた指示でAIを操る攻撃)への対策は完全ではないとしている。

組織で使う場合の管理機能は、まだ限られている。DataCampによれば、操作の記録として紹介されているのは予定した作業の実行状況だけで、本稿が確認した範囲では、操作の監査ログ機能についての記載は見当たらなかった。Enterpriseでも、innfactoryの記事で確認できる管理者の操作はベータを有効にすることにとどまる。複数人で回す事務所では、誰のアカウントにdotを置くか、担当者が抜けたときにどう引き継ぐかを、ツールの側ではなく運用の側で決めておく必要がある。この考え方は、Threadsの権限独立を扱った「誰に渡し、いつ外すか」の記事と共通する。

事務所の1日の業務を仕分ける──「任せてよい」と「確認が要る」

4段階の権限を実際の業務に当てはめると、どこまで任せられるかが具体的に見えてくる。以下は、クリエイター事務所やD2Cの宣伝担当が日々こなす代表的な業務を、「間違えたときに取り消せるか」「社外の相手や金銭に直接触れるか」の2つの軸で、本稿が仕分けたものである。OpenAIが示した区分ではない。

業務 取り消しやすさ/影響 Custom Rulesの目安
案件の締め切り・投稿予定日のリマインド、カレンダーの整理 社内で完結。誤りは翌日に直せる 確認なしで実行
投稿の再生数・反応の集計、週次レポートの下書き 読み取りが中心。数字の誤りは確認で見つかる 確認なしで実行(社外に出す前に人が数字を確認)
香盤表(撮影スケジュール)の作成・更新 社内共有なら直せるが、外部スタッフに配ると混乱が広がる 社内版は事前承認で実行、外部への配布は毎回確認
キャスティング候補の洗い出しと条件の比較 調査だけなら影響は小さい 確認なしで実行(最終の人選は人)
クリエイター・ブランドへの初回の打診や返信 送ったメッセージは取り消せず、関係と条件の交渉に直結する 実行の前に毎回確認(下書きまでを任せる)
請求書と発注内容・契約金額の突き合わせ 照合だけなら取り消せる 照合とずれの指摘は確認なしで実行、請求書の発行・送付は毎回確認
支払い・送金、ログイン情報の変更 取り消せない 人に引き渡す(設定にかかわらず人に戻される)
PR投稿の文言確認、契約書の条項の判断 法令や権利の判断を伴う 人に引き渡す(論点の整理まではAIに任せてよい)

表の中で特に線引きを誤りやすいのは、社外への連絡である。dotはSlackやメールの文面を整えるのが得意でも、条件の交渉や、クリエイターとの関係の機微までは判断できない。初回の打診は、送ってから訂正しても印象は戻らない。PR投稿の表現の確認は「書けない言葉」チェックリスト、二次利用の条件は契約で決めるべき7項目で整理したが、こうした判断は、AIに論点を整理させたうえで人が下すべき領域である。反対に、リマインド、集計、照合のように、社内で完結し、誤りを後から見つけやすい作業は、確認なしでの実行から始めやすい。損益分岐で見た「1日30分強」は、こうした作業を数件束ねれば届く量だ。

導入する前に決めておくこと

常時稼働のエージェントは、同じDevDayで発表が続いたOpenAIだけの動きではない。GoogleのGemini Sparkも24時間常駐を打ち出しており、作業を任せる相手がチャット画面からチーム内の「常駐の担当者」へ移りつつある。製品を選ぶ前に、どの業務をどの権限で任せるかを決めておけば、どのサービスに乗り換えても使い回せる。導入前に決めておきたいのは次の点だ。

  • dotに接続するアプリと、接続しないアプリ(接続を外しても学んだ内容は消えないため、所属クリエイターの個人情報を含むアプリは慎重に)
  • 業務ごとの4段階の割り当て(上の仕分け表を自社の業務に置き換える)
  • 個人のProで始めるか、Business Premiumで組織として持つか、dotを置くアカウントと引き継ぎの手順
  • パスワードをチャットに打ち込まないといった、担当者向けの最低限のルール
  • 任せた作業ごとの削減時間・確認時間・やり直しの記録(1か月目の無料枠が終わる前に評価する)

DevDay全体の流れは9月30日の記事で、dotsを動かすGPT-6 AstraについてはGPT-6 Astraの記事で扱った。dotsの登場で問われているのは、AIの性能よりも、任せる側が業務を仕分ける基準を持っているかどうかである。月100ドルという価格は試す障壁を十分に下げた。まずは取り消せる社内作業に絞って1か月記録を取り、社外とのやり取りや金銭には人の確認を残す。その順番を守れば、常時稼働の担当者を、事故の少ない形でチームに迎え入れられる。


本記事は、株式会社TORIHADAが運営するクリエイターエコノミー専門メディア「CREATORS POST」がお届けしました。最新のマーケティング・クリエイター動向を、実務目線で発信しています。

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この記事はAIを活用して書いています。

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