Googleが、検索の「AIモード」で新しい広告のテストを始めた。対象は、「Personal Intelligence」の利用者だ。これは、GmailやGoogleフォトなどのアプリをAIモードにつなぎ、回答を利用者に合わせる機能である。テストは2026年10月16日(米国時間)、Search Engine Landの報道で明らかになった。Search Engine Roundtableによれば、Googleは同紙に「アプリをPersonal Intelligenceでつないだ利用者を対象に、検索のAIモードで広告のテストを始める」とコメントした。同社は3月、こうした利用者に「現在、広告は表示されていない」と説明していた。今回、その方針を変えたことになる。
Googleの検索ヘルプには、広告の扱いが書かれている。広告は「Gmailの受信トレイやGoogleフォトのライブラリに直接基づくものではない」という。ただし、つないだアプリから作った要約や推定(インファレンス)は、広告の表示に使われることがある。健康などのセンシティブなカテゴリは、広告のパーソナライズに使わない。広告主がGmailやフォトの中身を見ることもない。一方で、広告主が使える設定、ターゲティング、レポート、テストの対象地域は発表されていない(10月20日時点)。
同じ週には、関連する発表がほかに3つあった。AIモードとAIによる概要(AI Overviews)でのリンクの増加、Google広告での「チャネルの優先度」の設定、AI Maxの新しいレポートである。広告主にとっては、検索の入口と広告の出方が同時に変わった週だ。本稿では、公式の資料で確認できることと、報道で混ざっていることを分けて整理する。そのうえで、ブランドや事務所が今期の検索広告と指名検索の計測で見直す点を、「いま触れる設定」と「まだ触れない設定」に分けて示す。
何が確認されたか──公式ヘルプとGoogleのコメントで分かる範囲
今回のテストについて、Googleは公式ブログで発表していない。確認できる一次情報は、主に2つある。1つは、報道機関に寄せたコメントだ。もう1つは、更新された検索ヘルプの記述である。業界メディアの記事では、Googleのコメントと、ヘルプの記述と、記者の推測がひとつの文章に混ざりやすい。そこで、出典ごとに分けて並べた。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| テストの事実 | Personal Intelligenceでアプリをつないだ利用者に、AIモードで広告を出すテストを始める | Googleのコメント(Search Engine Land、Search Engine Roundtableによる) |
| 広告に使う情報 | 受信トレイやフォトのライブラリに直接は基づかない。つないだアプリからの要約・推定は、広告の表示に使われることがある | 検索ヘルプ |
| 除外されるもの | センシティブなカテゴリに基づくパーソナライズ広告は出さない。広告主はGmailやフォトにアクセスできない | 検索ヘルプ |
| 利用者の操作 | アプリをつなぐかどうかは利用者が選び、いつでも切断できる | 検索ヘルプ |
| 利用の条件 | 18歳以上、個人のGoogleアカウントでログイン、「おすすめのパーソナライズ」がオン | 検索ヘルプ |
| 未発表のもの | 広告主向けの設定・ターゲティング・レポート、テストの対象地域、本格展開の時期 | The Keyword、Search Engine Roundtable |
見落としやすいのは、広告以外のデータの扱いだ。検索ヘルプによれば、アプリをつなぐと、Googleはそのデータを生成AIモデルの学習を含むサービス改善に使うことがある。学習に使うのは、受信トレイそのものではなく、要約、抜粋、推定だという。また、データの一部は、個人とのひも付けを外したうえで、人のレビュアーが確認する。The Keywordによれば、Personal Intelligenceは1月に米国の有料プラン(Google AI Pro・Ultra)の英語版で始まった。3月には、米国の無料利用者にも開放されている。今回の広告テストの対象地域を、Googleは明らかにしていない。
従来の検索広告と何が違うか──「検索語」から「推定された文脈」へ
AIモードに広告が出ること自体は、新しくない。Search Engine Roundtableも、新しいのは「Personal Intelligenceを使っている間に広告が出る」点だと書いている。従来の検索広告は、利用者が入力した検索語と広告主のキーワードを合わせる仕組みが中心だった。今回のテストでは、検索語に加えて、メールや写真から推定した文脈が、広告を選ぶ材料になりうる。Search Engine Landによれば、Googleは、広告は引き続き検索語、AIの回答の文脈、利用者の興味を反映すると説明している。
| 比較の軸 | 通常の検索広告 | AIモードの広告(従来のテスト) | Personal Intelligence利用者向けのテスト |
|---|---|---|---|
| 広告を選ぶ主な材料 | 検索語とキーワード | 検索語と回答の文脈 | 検索語と回答の文脈に加え、つないだアプリからの要約・推定 |
| 広告主が狙って出せるか | キーワード、地域、オーディエンスで指定できる | 専用の指定は限られる | 専用の設定は発表されていない |
| レポートでの見え方 | 検索語レポートなどで確認できる | 掲載面ごとに分けたレポートは限られる | 発表されていない |
| 日本での状況 | 提供中 | 日本での導入時期は未定(5月21日の日本語ブログ) | 日本での実施は発表されていない(10月20日時点) |
日本の状況は分けて見る必要がある。検索ヘルプでは、アプリをAIモードにつなぐ機能の対象国に日本が、対象言語に日本語が含まれている。ただし、フォトとの連携は「すべての地域で使えるわけではない」とされ、日本で使えるかは書かれていない。広告については、5月のGoogleの日本語ブログが、AIモードの新しい広告フォーマットを「米国向け」の発表とした。日本での導入時期は「未定な情報も含まれています」としている。新しいフォーマットとは、「Conversational Discovery ads」と「Highlighted Answers」の2つだ。AIの回答の中に出る広告は、AIチャットの側でも広がっている。ChatGPTでの入稿の様子はChatGPT広告の記事で取り上げた。The Keywordは、2つの違いも指摘している。OpenAIはChatGPTの会話履歴を材料にする。Googleは、Gmail、カレンダー、フォトといった別のサービスのデータを材料にする。
同じ週の3つの変更──リンク増加、チャネル優先度、AI Maxのレポート
今回の広告テストは、単独で読むより、同じ週の発表と並べると意味がわかりやすい。10月14日から15日にかけて、Googleは自然検索、広告の配信、レポートのそれぞれで発表を出した。AIの回答が検索の入口になるなかで、サイトへの送客と広告の配分の両方を調整しているように見える。それぞれの発表で、広告主の実務に関わる部分を抜き出した。
1つ目は、AIの回答の中のリンクだ。10月15日のGoogleの公式ブログによれば、AIモードとAIによる概要で、本文中のリンクを「継続的かつ大幅に」増やし、回答の上のほうに出す場面も増やした。回答の冒頭に、公式サイトなどへのリンクをまとめて出す欄もテストしている。AIモードの動画の結果では、クリエイターや媒体の名前から検索のプロフィールに飛べるテストも始まった。ただし、Search Engine Journalは、計測上の注意を挙げている。Search Consoleでは、AIによる概要の中のリンクはすべて、概要の掲載順位として記録される。リンクが回答の上に移っても、記録される順位は変わらないという。
2つ目は、Google広告のチャネル優先度と予算配分だ。10月14日の公式ブログと広告ヘルプによれば、対象は検索、ショッピング、P-MAX、デマンドジェネレーションの各キャンペーンである。チャネルごとに優先度を「高」か「低」に設定でき、低いチャネルには1日の予算の上限を割合で付けられる。ヘルプによれば、10月15日から数か月かけて順次展開する。3つ目は、9月23日に発表されたAI Maxの統合レポートだ。どの検索語で広告が出て、どの素材が表示され、サイトのどこに着地したかを1つの画面で見られる。提供時期は「年内に詳細を共有する」とされ、まだ決まっていない。同じ発表で、AI Maxに広告主の情報を伝える「AI Brief」のクローズドベータが、日本語を含む7言語に広がった。
広告主が「いま触れる設定」と「まだ触れない設定」
報道を追うと、AIモードの広告を広告主が細かく操作できるような印象を受けることがある。だが、公式のヘルプを読み比べると、AIモードを狙って出す、あるいは外すための専用の設定は見当たらない。チャネル優先度で選べるチャネルは、検索キャンペーンでは「Google検索」「検索パートナー」「ディスプレイネットワーク」の3つだ。AIモードは、独立したチャネルとして並んでいない。以下は、10月20日時点で公式資料から確認できた範囲を、本稿が分類したものだ。
| 設定・機能 | 状況(10月20日時点) | 分類 | 出典 |
|---|---|---|---|
| チャネル優先度(高・低) | 10月15日から順次展開。アカウント、共有予算、キャンペーンの単位で設定できる。MCCアカウントからは設定できない | 展開されたアカウントから触れる | 広告ヘルプ |
| 優先度「低」のチャネルの予算配分 | 平均日予算に対する割合で上限を付ける。保証はない。0%なら配信しない。デマンドジェネレーションは対象外 | 展開されたアカウントから触れる | 広告ヘルプ |
| AI Maxの検索語・ランディングページのレポート | 検索語レポートの「一致タイプ」「ソース」列、ランディングページレポートなどで確認できる | いま触れる | AI Maxのレポートのヘルプ |
| AI Brief | クローズドベータが日本語を含む7言語に拡大 | ベータの対象なら触れる | Google公式ブログ(9月23日) |
| AI Maxの統合レポート | 発表済み。提供時期は未定 | まだ触れない | Google公式ブログ(9月23日) |
| APIとGoogle広告エディタでのチャネル優先度 | 「近日対応」 | まだ触れない | 広告ヘルプ |
| AIモードだけを狙う、または外す設定 | チャネルの選択肢にAIモードはない | まだ触れない | 広告ヘルプ |
| Personal Intelligence利用者向け広告の設定・レポート | 発表されていない | まだ触れない | The Keyword、Search Engine Roundtable |
AIの回答のそばに出る広告のレポートには、先例がある。AIによる概要の広告ヘルプには、概要の中に出た広告を分けて見るレポートは「現在ない」とある。概要の中の広告は「上部の広告」として記録される。この「概要の中の広告」は、米国やインドなど12か国の英語版で提供されている。一覧に日本は含まれていない。AIモードの広告でも、当面は掲載面を分けて見られない前提で計画を立てたい。もう1つ、予定されている変更がある。2027年2月から、ディスプレイ拡張をオンにした検索キャンペーンは、チャネル優先度の仕組みに自動で移る予定だ。いまの配分を保ちたい場合、Googleはディスプレイネットワークを優先度「低」、予算配分50%にするよう案内している。予定されている移行の前に、現状の配分を記録しておきたい。
今期の計測で見直すこと──順位ではなく、着地と指名検索で見る
個人の文脈で広告が選ばれるようになると、同じ検索語でも、利用者によって出る広告が変わる。これは広告主にとって、管理画面の数字の意味が少しずつ変わることを意味する。ただし、Personal Intelligence利用者向けのテストは、対象地域も規模も明らかにされていない。テスト単独の影響を数字で切り出すことはできない。いまできるのは、10月中旬に重なった変更を、計測の記録に残しておくことだ。公式資料と報道で確認した事実をもとに、本稿が確認項目を整理した。
- レポートに10月14日(チャネル優先度の発表)と15日(リンク増加の発表、チャネル優先度の展開開始)を注記し、前後の比較で取り違えないようにする
- Search Consoleでは掲載順位より、AIの回答に出るランディングページごとのクリック数を、10月15日の前後で比べる
- AI Maxを使う検索キャンペーンでは、検索語レポートの「ソース」列で、キーワード外から来た配信の比率を月次で記録する
- ブランド名の検索について、広告と自然検索のクリックを分けて記録する。AIの回答の冒頭に公式サイトの欄が出るテストの影響を見るためだ
- チャネル優先度が展開されたら、すべてが初期値の「高」のままでよいかを、キャンペーンごとに確かめる
このうち指名検索は、ブランドとクリエイター事務所の両方に関わる。SNSでの話題がGoogleでの指名検索に流れる経路は、クリエイター施策の効果を測る数少ない手がかりだ。だが、AIの回答の中でブランドが紹介されると、利用者は公式サイトに行かずに用件を済ませることがある。指名検索の回数とサイトへのクリックが、同じ割合では動かなくなる可能性がある。検索の入口がSNSに広がる動きは、TikTokが「検索×購買インフラ」になる流れを扱った記事で論じた。Google広告の中でクリエイター施策を組む方法は、YouTube Creator Partnershipsの記事で取り上げている。
ブランドと事務所が決めておくこと──「出し分けられない」前提で準備する
今回のテストで、広告主が今日から変えられる設定はない。それでも、方向ははっきりしている。広告を選ぶ材料が、入力された言葉から、利用者について推定された文脈に広がりつつある。そうなると、キーワードの細かな管理より、Googleの仕組みが自社を正しく理解できる材料を整えることのほうが重要になる。商品データ、ランディングページ、ブランドの説明文がそれにあたる。AI Briefがベータで日本語に対応したのも、同じ流れの上にある。
D2CやECの担当者は、Merchant Centerの商品データとランディングページの記述が一致しているかを見直したい。AIの回答や広告に引用されたとき、価格、在庫、仕様がずれていると、信頼を失いやすい。商品データの整え方は、ChatGPTのバーチャル試着の記事でも、AIに読ませる観点から整理した。クリエイター事務所は、AIモードの動画の結果でクリエイター名から検索のプロフィールに飛べるテストに注目したい。所属クリエイターの名前で検索したとき、どのプロフィールやチャンネルが出るかを確認しておくとよい。
決めておくことは3つある。1つ目は、チャネル優先度がアカウントに展開されたときの初期設定を、誰がいつ確かめるか。2つ目は、10月中旬の変更を計測の記録に残し、順位ではなく着地と指名検索で効果を見る手順。3つ目は、日本でAIモードの広告が始まる場合に備えて、商品データとブランドの説明を整えておくことだ。Personal Intelligence利用者向けの広告は、米国の報道で明らかになったテストの段階にある。日本での実施も、広告主向けの設定も発表されていない(10月20日時点)。Googleの日本語ブログと広告ヘルプの更新を、節目ごとに確かめたい。
本記事は、株式会社TORIHADAが運営するクリエイターエコノミー専門メディア「CREATORS POST」がお届けしました。最新のマーケティング・クリエイター動向を、実務目線で発信しています。
この記事はAIを活用して書いています。



