Anthropicは2026年10月8日、Claudeに2つの新機能をベータで追加した。同社の公式記事によれば、1つ目の「Claude Dashboards」は、データの置き場所につないでダッシュボードを作る機能で、元のデータが変わると表示も更新される。2つ目の「Claude Motion」は、短いアニメーションの解説動画を作り、MP4として書き出せる機能だ。あわせて、文書・スライド・デザインを作る「Claude Docs」「Claude Slides」「Claude Design」がベータを終え、無料プランを含むすべてのプランで正式に使えるようになった。
提供範囲はプランによって違う。Dashboardsは有料プラン、MotionはTeamとEnterpriseだけが対象で、どちらも初期設定ではオフになっている。一方、Docs・Slides・Designは10月15日から初期設定でオンになる予定で、管理者が何もしなければ組織のメンバーが使える状態になる。さらに、Claude Designの単体サイト(claude.ai/design)は12月14日に閉じる予定だ。チャットやコメント、公開リンクは単体サイトに残り、閉鎖の後は使えなくなる。
複数のクライアントや所属クリエイターの情報を扱う事務所や、社内に数字の報告業務を抱えるD2Cにとって、まず決めるべきなのは、管理者設定と社外共有の範囲である。それは明日の10月15日までに済ませておきたい。本稿では、公式記事に書かれた提供範囲を表に整理し、月次の運用レポート、クリエイター別のPR成果報告、提案書、SNS用の解説ショートの4つの業務に当てはめる。さらに、Motionが「動画生成ではなくコード生成」である点をAI開示の観点から読み解き、2つの期限に向けて確認すべき項目をまとめる。
何が発表されたか──データを読むDashboards、コードで動かすMotion
今回の発表は、Claudeが会話の中で作る「成果物」の種類を広げるものだ。これまでの文書・スライド・デザインに、データの可視化と短い動画が加わった。公式記事によれば、Docs・Slides・Designで作られた文書・資料・デザインは、すべての会話で使えるようになってから4,500万件を超えた。今回の新機能は、この延長線上にある。
Dashboardsは、データウェアハウスなどにつないで使う。公式記事は接続先の例として、BigQuery、Databricks、Snowflake、Amazon Redshift、ClickHouseを挙げる。Salesforceなどのコネクタにも対応する。「今四半期の地域別売上のダッシュボードを作って」と頼むと、グラフがまとまって作られる。各グラフには、データが最後に更新された時刻が表示される。数字をクリックすると、その数字を出したクエリを確認でき、Claudeに説明させることもできる。公式記事は用途として、今週の登録数を先月と比べるような、手早い探索的な問いを挙げている。作ったダッシュボードは、Amplitude、Grafana、Mixpanel、Sigmaなどの外部ツールにも送れる。ただし、更新の間隔は書かれていない。
Motionは、メッセージ欄に「/motion」と入力して使う。公式記事が挙げる例は、四半期の報告から作る全社会議用の動画、取締役会の資料に載せるグラフの動き、顧客向けの導入説明などだ。仕組みとして重要なのは、Claudeがテキスト・グラフ・図形・画像を動かすコードを書く点である。公式記事は、動画生成モデルは使わず、「生成された映像も、AIが生成した人物もない」と明記している。コードで作るため、文字や数字、タイミングは後からエディタで直せるし、Claudeに頼んで直すこともできる。書き出した動画は、Adobe、Descript、HeyGen、Higgsfield、invideo、Luma AI、Runwayで開ける。CanvaとCaptionsへの対応は「近日対応予定」とされる。一方で、動画の長さの上限、縦型など画面の比率、ファイルサイズについては記載がない。
Docs・Slides・Designがベータを終えたことで、管理の機能も整った。公式記事によれば、Enterpriseでは顧客が管理する暗号鍵(CMEK)を使え、組織で使うテンプレートを管理者が選べる。チームのメンバーとClaudeが、同じ文書や資料、ダッシュボードを一緒に編集することもできる。PowerPointやPDFに書き出しても、エディタで整えた書式は保たれる。スライドは、編集できる形のままGoogleスライドに送れる。2日前の10月6日には、Googleドキュメント・スプレッドシート・スライドの中でClaudeを使えるアドオンも、有料プラン向けのパブリックベータとして公開された。企画書から資料までを一続きで作る流れは、Claude Fable 5.1の記事で取り上げたが、今回はそれを支える機能の側が正式な提供段階に入った。
プラン別の提供範囲と管理者設定──「初期値オフ」と「10月15日に既定オン」が混在する
今回の発表では、機能ごとに提供の段階も、対象のプランも、管理者設定の初期値も違う。どれも同じ「新機能」として社内に案内すると、使えるはずの人が使えなかったり、止めるつもりだった機能が使えたりする。公式記事、移行ガイド、10月6日の発表をもとに、10月14日時点の情報を整理した。
| 機能 | 提供段階 | 対象プラン | 管理者設定の初期値 |
|---|---|---|---|
| Claude Dashboards | ベータ | 有料プラン(公式記事に具体的なプラン名の記載はない) | オフ。「組織設定 > Artifacts」でオンにする |
| Claude Motion | ベータ | Team・Enterpriseのみ | オフ。同じ画面でオンにする |
| Claude Docs・Slides・Design | 正式提供 | 無料を含む全プラン | 10月15日に既定でオンになる予定。それより前に手動でオンにすることもできる |
| Claude Design単体サイト | 12月14日に閉鎖予定 | ― | Designは9月16日からすべての会話の中で使える |
| Google Workspace用アドオン | パブリックベータ(10月6日発表) | 有料プラン | Google管理コンソールから、ドメイン全体か一部のグループに配布する。Team・Enterpriseでは、オーナーが先にコネクタを有効にする必要がある |
この表から、事務所やD2Cの管理者が確かめるべき点は3つある。1つ目は、Docs・Slides・Designが「止めたい場合に操作が要る」側に回ることだ。10月15日の時点で何もしなければ、組織のメンバーはこれらを使えるようになる。2つ目は、社外への共有だ。公式記事によれば、管理者が許可すれば、作った文書や資料を組織の外に共有でき、リンクを知っている人なら誰でも見られる共有も選べる。クライアントの売上や、クリエイターの報酬が入ったダッシュボードを誤ってリンクで公開しないよう、共有の範囲は既定オンの前に決めておきたい。3つ目は、MotionがTeamとEnterpriseに限られる点である。個人の有料プランで契約している担当者は、Dashboardsは使えてもMotionは使えない。
日本からの利用については、Anthropicの提供国一覧に日本が含まれ、公式記事にも地域の制限は書かれていない。ただし、日本語の資料や動画をどの程度の品質で作れるかについては、記載がない(10月14日時点)。日本語の文字組みや、縦型の動画に向くかは、実際に試して確かめる必要がある。
4つの業務に当てはめる──任せるのは「下ごしらえ」、確定させるのは人
新しい機能の使いどころを考えるとき、「何を作れるか」ではなく、「誰に、何の目的で出す成果物か」から考えると判断しやすい。社内で数字を眺めるためのダッシュボードと、クライアントに請求の根拠として出す報告書では、求められる正確さも、誤りがあったときの影響も違う。以下は、公式記事に書かれた機能を、事務所・D2Cの代表的な業務に本稿が当てはめたものだ。Anthropicが示した使い方ではない。
| 業務 | 使う機能 | 任せられる範囲 | 人が残すべき確認 |
|---|---|---|---|
| 社内の数字の監視(売上、問い合わせ、広告費の推移) | Dashboards | データを置いている場所につなぎ、毎週見るグラフを作り直す手間をなくす | 指標の定義(何を「売上」「CV」とするか)と、最終更新の時刻 |
| クライアント向けの月次運用レポート | Dashboards+Docs/Slides | グラフの作成、前月比の計算、所見の下書き | 月末時点の数字を固定した版を作ること、数字の出どころとなるクエリ、所見の妥当性 |
| クリエイター別のPR成果報告 | Docs/Slides | 投稿ごとの数値表と、報告書の型への流し込み | 各SNSの管理画面の数字との突き合わせ、二次利用の範囲や広告配信の有無の記載 |
| 提案書・企画書 | Slides・Design | 構成案、自社のデザインシステムに沿ったスライド | 実績の数字、他社の事例、料金の条件 |
| SNS用の解説ショート(データ解説、料金比較など) | Motion | 図表と文字の動き、書き出し後に動画編集ツールで仕上げる前の素材 | 数字と表現の正しさ、PR表示、画面の比率 |
この中で最も慎重に扱うべきなのは、クライアント向けの月次レポートだ。Dashboardsの強みは、元のデータの変化に合わせて表示が新しくなる点にある。一方で、請求や契約の更新の判断に使う報告書には、「何月何日の時点でこの数字だった」という固定した記録が要る。運用では、日々の確認にはDashboardsを使い、月末に数字を確定させてDocsやSlidesに書き出し、その版をクライアントに渡す、と役割を分けるのが無難だ。数字をクリックするとクエリが見られる機能は、担当者が数字の出どころを確かめるときに役立つ。
注意したいのは、公式記事が挙げる接続先が、データウェアハウスとSalesforceのようなCRMだという点だ。TikTokやInstagram、YouTubeの管理画面にある数字に直接つなぐ方法は、公式記事には書かれていない。SNSの数字を手作業でスプレッドシートにまとめている事務所なら、まずはDocs・SlidesやGoogleスプレッドシートのアドオンで報告書の作成を効率化するのが現実的だ。Dashboardsは、数字をデータウェアハウスに集める仕組みができてから検討すればよい。どの業務をエージェントに渡すかの考え方は、OpenAIのdotsの記事でも整理した。
Motionは「動画生成」ではない──AI開示とPR表示をどう考えるか
Motionの性質を正しく理解しておくと、SNSでの使い方を判断しやすくなる。公式記事が明記するとおり、Motionは動画生成モデルで映像を作るのではなく、文字や図形、グラフを動かすコードを書く。実在しない人物の顔や、撮影したように見える風景は出てこない。動画に入るのは、利用者が与えた数字や文章、画像を動かしたものになる。
AI開示の観点では、この違いに意味がある。各プラットフォームや法令がAI製の表示を求めるのは、主に、本物と見分けのつかない人物や出来事を描いた合成映像だ。この点は、EU AI法第50条の記事やInstagramのAI Creatorラベルの記事で取り上げた。図表と文字だけのアニメーションは、こうした写実的な合成映像とは前提が違う。ただし、表示が要らないと言い切ることはできない。各プラットフォームの規約、クライアントとの契約、社内の開示方針のどれかがAIの利用を広く開示するよう求めていれば、それに従う必要がある。また、公式記事には、Motionで書き出したMP4に透かしや来歴情報が付くかの記載もない。開示が必要な場面では、投稿文や画面上の表記で明示することになる。
AI製かどうかより大きなリスクは、数字と表現の誤りだ。Motionはデータを分かりやすく見せることに向くため、料金の比較や成果の推移を動画にする場面が増える。グラフの縮尺や比較の条件が少しずれるだけで、見る人に誤解を与える動画になる。ブランドの依頼で作る動画なら、ステルスマーケティング規制に沿ったPR表示も、生成の方法とは関係なく必要になる。「最安」「No.1」のような表現の確かめ方は、PR投稿で「書けない言葉」チェックリストで整理した。Motionで作った素材を、クリエイターの投稿や広告に流用する場合は、使える範囲を二次利用の契約項目と同じように事前に決めておきたい。
Design単体サイトの移行──12月14日に「消えるもの」を先に確かめる
Claude Designの単体サイトは、12月14日に閉じる予定だ。Designは9月16日からすべての会話の中で使えるようになっており、移行先はすでにある。急ぐ必要はないように見えるが、移行で引き継がれないものがあるため、早めに中身を確かめておきたい。Claude Designが登場した当初の位置づけは、Claude Designの発表の記事で紹介した。
公式の移行ガイドによれば、移行はClaudeのArtifactsページで「Migrate team design systems」を選んで実行する。1回の移行で、ほかのメンバーが作ったものも含め、組織のすべてのデザインシステムが移る。オーナーや共有の設定も引き継がれ、オーナーが退職している場合はプライマリーオーナーが引き継ぐ。移行はオーナーに限らず、Claude Designを使える人なら誰でも始められる。一方で、空のデザインシステムや、組み込みのスターターテーマから作ったものは、編集していても移行されない。チェックに通らなかったものは、失敗の理由とともに一覧に表示される。
事務所にとって特に重要なのは、単体サイトに残り、閉鎖の後に使えなくなるものだ。移行ガイドによれば、Claudeとのチャット、プロジェクトとデザインシステムへのコメントは移らず、プロジェクトの公開リンクは閉鎖とともに使えなくなる。プロジェクトは単体サイトに残るため、必要なものは1件ずつ.zipでダウンロードしておく。クライアントにDesignの公開リンクで提案資料を渡していた場合、12月14日以降、そのリンクは開けなくなる。また、Enterpriseではデザインシステムが初期設定でオフになっており、オーナーが有効にしないと移行できない。データを保存しない契約(ゼロデータリテンション)の組織は、Artifactsを有効にできないため、移行そのものができない。
期限別のチェックリスト──10月15日まで、12月14日まで
2つの期限は、それぞれ確認すべき人と中身が違う。10月15日は管理者の設定の問題で、12月14日は制作物の保存の問題だ。公式記事と移行ガイドの記載をもとに、事務所・D2Cが確かめる項目を期限ごとに分けた。どの項目をいつ誰が担当するかは、組織の体制に合わせて決めてほしい。
10月15日(既定オンの予定日)までに確認すること:
- Docs・Slides・Designを全メンバーに開放するか、オンになる前に止めるか
- 組織の外への共有と、リンクを知っている人なら誰でも見られる共有を許可するか
- Dashboardsをオンにする場合、接続するデータの範囲(クライアント別に分けられるか)
- Motionをオンにする場合(Team・Enterpriseのみ)、SNSに公開する動画の確認者と開示の方針
- Google Workspace用アドオンを配布する場合、Google管理コンソールでの配布範囲と、Claude側のコネクタの有効化
- Enterpriseで使うテンプレートと、カスタムロールに付けるArtifactsの権限
12月14日(Design単体サイトの閉鎖予定日)までに確認すること:
- 単体サイトで作ったデザインシステムの一覧と、移行の担当者
- スターターテーマから作ったものなど、移行されないものの洗い出し
- プロジェクトの.zipでのダウンロード
- チャットやコメントのうち、残しておくべき指示や合意の記録の保存
- クライアントや社外に渡した公開リンクの洗い出しと、差し替え先の案内
- 移行後の共有設定の確認(非公開でない公開済みのデザインシステムは、組織の全員に共有される)
最後の項目は見落としやすい。移行ガイドによれば、公開済みで非公開になっていないデザインシステムは、移行すると組織の全員に共有される。複数のブランドを担当する事務所では、あるクライアントのデザインシステムが、別のクライアントの担当者からも見える状態になりうる。移行の前に、公開の設定を確かめておきたい。
今回の発表で、Claudeは文書と資料に加え、数字の可視化と短い解説動画まで、1つの会話で作れるようになった。ただ、事務所・D2Cにとって今週の作業は、新機能を試すことより、既定オンを前に共有と権限の範囲を決めることだ。エージェントやAIツールに渡す権限の決め方は、Gemini agentの記事で整理した考え方がそのまま使える。数字を固定すべき報告書と、更新され続けてよいダッシュボードを分けたうえで、12月14日までにDesignの移行を済ませておきたい。
本記事は、株式会社TORIHADAが運営するクリエイターエコノミー専門メディア「CREATORS POST」がお届けしました。最新のマーケティング・クリエイター動向を、実務目線で発信しています。
この記事はAIを活用して書いています。



