楽天モバイルは2026年10月1日、通話・メッセージアプリ「Rakuten Link」で試験的に提供していた「楽天市場ショップ Rakuten Link 公式アカウント機能」を、正式提供に切り替えた。同社の発表(ネットショップ担当者フォーラム掲載のPR TIMES配信)によれば、利用者は楽天市場のショップをフォローすると、限定クーポンやセール、新商品の情報をRakuten Link上で受け取れる。店舗側は、リピーターから新規の顧客まで幅広い層に直接情報を届けられると説明されている。
正式提供にあわせて、「楽天モバイル 最強感謝祭」の中でグランドオープン記念のキャンペーンが始まった。期間は10月1日10時から10月27日9時59分まで。公式のキャンペーンページによれば、新規フォローで100万ポイントを山分けする企画に加え、10月19日10時からは、フォローしたショップのメッセージ画面から買うとポイントが通常の20倍になる(上限・条件あり)。発表文では、対象は「Rakuten最強プラン」か「Rakuten最強U-NEXT」の契約者で、エントリーが要る。
楽天市場に出店している事業者にとって、20倍の買い物期間は10月19日から27日までの約8日間しかない。期間中に何をいつ配信するかは、開始前の今週のうちに決めておく必要がある。本稿では、キャンペーンの条件を公式資料から表に整理し、上限に届く購入額を試算する。そのうえで、対象が楽天モバイルの契約者に限られる点から、届く相手の数をどう見積もるか、メッセージから購入までに見る指標、店舗側が事前に確認すべき点を示す。
何が正式提供になったか──楽天市場の外にある「店舗の連絡窓口」
この機能は、楽天市場のサイトやアプリの中ではなく、楽天モバイルの契約者が使うRakuten Linkの中に店舗の窓口を置くものだ。公式アカウントの一覧ページは、これを「Rakuten Linkをお使いの方だけに最新情報をメッセージでお届けするサービス」と説明し、フォーローはRakuten Linkを入れたスマートフォンから行うとしている。VOIXも、店舗にとってはリピーターと新規顧客の両方に近づける手段だと伝えた。
形の上では、メッセージアプリの企業アカウントに近い。フォローしてくれた相手に、店舗からクーポンやセールの情報を送る。違うのは、配信の行き先が楽天IDと楽天モバイルの契約でつながった利用者であることと、楽天のポイント施策と直接結びついている点だ。SNSの中で発見から購入、支払いまでがつながる流れは「SNSが財布になる」2026下半期の記事で整理したが、今回は通信会社のアプリが楽天市場の売り場への入口になる。
一方で、本稿が確認した資料には、店舗がどう参加するか、費用がかかるか、配信の回数や形式に制限があるかが書かれていない。試験提供がいつ始まり、何店舗が参加していたかも記載がない。一覧ページに並ぶアカウントには、楽天24や楽天ファーム、楽天市場 BRAND PLACEのような楽天グループのサービスも含まれ、一般の出店店舗がどれだけ参加しているかは一覧からは読み取りにくい。これらは店舗が楽天側に確かめるべき点として、後の章でまとめる。
キャンペーンの条件を表で整理する──「20倍」は通常分+19倍、1回あたり上限2,000ポイント
報道では「最大20倍」と短く紹介されることが多いが、公式のキャンペーンページを読むと、上限や付与の時期など、店舗の運用に効く条件が細かく決められている。発表文とキャンペーンページの記載を突き合わせ、10月1日時点の条件を整理した。
| 項目 | 新規フォローの山分け | メッセージ画面経由の購入で20倍 |
|---|---|---|
| 期間 | エントリーとフォローは10月1日10時〜10月27日9時59分 | エントリーは同じ。買い物は10月19日10時〜10月27日9時59分 |
| 対象者 | 発表文では最強プラン・最強U-NEXTの契約者。キャンペーンページでは、エントリー・フォロー・購入・楽天モバイルの契約に同じ楽天IDを使うこと、Rakuten Linkを最新版にしておくことも条件 | |
| 条件 | 対象の公式アカウントを新規にフォロー(開始前からのフォローは数えない) | フォローしている対象ショップのメッセージ画面から商品を買う |
| 特典 | 100万ポイントを山分け。フォロー数が口数になり、1人最大10口・上限100ポイント | 通常の還元に19倍を加算し、合計で通常の20倍。1回の対象購入につき上限2,000ポイント |
| ポイント | 期間限定ポイント。付与は12月25日ごろ、有効期限は2027年1月31日23時59分 | |
| 主な対象外 | 集計の時点でフォローを外している場合、特典が付与されるまでに楽天会員を退会した場合など。20倍はキャンペーン開始前に楽天モバイルを解約した人も対象外 | |
店舗の運用で見落としやすいのは3点だ。1つ目は、上限が1回の購入ごとに決まっていること。通常の還元を購入額の1%とし、上限2,000ポイントが加算分の19倍(19%)にかかると仮定すると、約1万500円の買い物で上限に届く。これより高い商品では、還元率は実質的に下がっていく。上限が加算分だけにかかるのか合計にかかるのか、ポイントの計算が税込か税抜か、どの金額にかかるのかは、ページの記載からは断定できない。高額商品を売る店舗ほど、配信の前に計算の根拠を確かめておきたい。
2つ目は、ポイントの付与が12月25日ごろで、有効期限が翌年1月31日である点だ。期間限定ポイントを受け取った購入者は、年末年始の1か月余りで使い道を探すことになる。10月の購入で終わらせず、年末の再購入につなげる配信を前もって計画しておく余地がある。3つ目は、期間中に追加されたアカウントの扱いだ。20倍は開設日以降のフォローとその後の購入だけが対象になる。これから参加する店舗は、開設が遅れるほど使える期間が短くなる。
届く相手の数をどう見積もるか──起点は「MNO契約1,018万回線」
このキャンペーンで店舗が届けられる相手は、楽天市場の利用者全体ではない。20倍の対象は楽天モバイルの契約者に限られるうえ、Rakuten Linkを最新版に更新し、エントリーし、店舗をフォローした人だけだ。母数を大きく見積もると、配信の計画も成果の評価もずれる。
上限の目安として使える公表値は、楽天モバイルの契約数である。9月25日の同社の発表によれば、9月24日時点の契約数はBCP用途の回線を含めて1,100万回線、BCP回線を除くと1,096万回線、BCP・MVNO・MVNEを除いたMNOの契約は1,018万回線だった。最強プランの契約者を数える目安としては、MNOの1,018万回線が近い。ただし、これは回線の数で人の数ではなく、1人が複数の回線を持つ場合や、家族の回線もある。さらに、そのうちRakuten Linkを日常的に使っている人の割合は公表されていない。
実際に届くのは、この母数のうち、Rakuten Linkを使い、キャンペーンにエントリーし、自社をフォローした人に限られる。各段階の割合はどれも公表されていないため、本稿では試算の数字を置かない。店舗にとって現実的なのは、母数を推計することよりも、自社のフォロー数を実際に数え、楽天市場の購入者数と比べることだ。フォローしてくれた人の多くがすでに自社の購入者なら、この施策はリピーター向けの販促として評価すべきで、新規顧客の獲得として評価するには別の根拠が要る。
メッセージから購入までに見る指標
キャンペーンの成果を「期間中の売上が伸びたか」だけで判断すると、ポイント20倍の効果と配信の効果を分けられない。メッセージの配信から購入までを段階に分け、それぞれで何を見るかを決めておくと、キャンペーン後も続けるかどうかを判断しやすい。以下は本稿が整理した指標の例で、楽天が示したものではない。店舗の管理画面でどこまで数字が取れるかは、資料からは確認できなかった。
| 段階 | 見る指標 | 見るときの注意 |
|---|---|---|
| フォロー | フォロー数、期間中の新規フォロー数 | 山分けの口数を狙ったまとめてのフォローが混ざる。10月27日以降の残り方で見る |
| 配信 | 配信数、開封やタップ(取れる場合) | どの指標を店舗が見られるかは事前の確認が要る |
| 購入 | メッセージ画面経由の注文数・売上、客単価 | 上限2,000ポイントの影響で、高額商品と低額商品の反応が分かれうる |
| 顧客 | 新規購入者と既存購入者の比率 | 既存顧客中心なら、期間外の購入を前倒ししただけの可能性がある |
| キャンペーン後 | フォロー解除の数、11月以降の再購入、12月下旬から1月の購入 | 付与されたポイントの有効期限(1月31日)に合わせた再購入を確かめる |
特に、キャンペーン後のフォローの残り方は重要だ。集計の時点でフォローを外すと特典の対象外になるため、期間中は外す人が少なく、本当の離脱は特典の付与後に表れる可能性がある。配信の頻度を上げすぎると、期間の後にまとめて外される。比較のための基準として、期間前の1週間の同じ商品の売上と、期間後の同じ長さの売上を残しておきたい。TikTokの買い物機能を扱った10月7日の記事でも、売上ではなく利益で施策を見る考え方を示したが、ポイント施策も同じで、値引きやクーポンと重ねたときに利益が残るかを商品ごとに確かめておくべきだ。
参加するか、期間をどう使うか──今週決めておくこと
判断の分かれ目は、自社の顧客が楽天モバイルの契約者とどれだけ重なっているかと、メッセージで伝える内容を用意できるかだ。フォローしてもらう理由がポイントだけなら、キャンペーンの後に配信する内容がなくなり、フォローは減っていく。限定クーポンや入荷の案内など、継続して送れる内容があるかを先に考えておきたい。楽天の外でクリエイターの動画から楽天市場へ送客する流れはYouTube Shoppingと楽天の記事で取り上げたが、今回は楽天の中にある別の入口であり、既存の送客経路と重ねて評価する必要がある。
資料に書かれていない点は、配信を始める前に楽天側の窓口で確かめておくべきだ。発表文とキャンペーンページから読み取れず、店舗の運用に直接響くのは次の項目である。
- 店舗が公式アカウントを開設する手順と審査の有無、費用の有無
- キャンペーンの19倍分のポイントを、楽天側と店舗側のどちらが負担するか
- 配信できる回数・形式・時間帯の制限と、配信できる内容の決まり
- 店舗の管理画面で見られる指標(フォロー数、開封、メッセージ経由の注文など)
- 上限2,000ポイントの計算の根拠(加算分か合計か、税込か税抜か)
- キャンペーンの後も公式アカウントの運用を続けた場合の条件
配信の文面も事前に確かめておきたい。「今だけ」「最安」のような言い回しや、ポイントの倍率を強調した表現は、条件の書き漏らしがあると、購入者に誤解を与えかねない。上限や対象者の条件を省いた案内は、景品表示法の観点からも避けるべきだ。表現の確かめ方はPR投稿で「書けない言葉」チェックリストで法令ごとに整理した。
今回の正式提供は、楽天市場の店舗にとって、楽天モバイルの契約者に向けた配信の窓口が加わったことを意味する。20倍の期間は10月19日に始まり、27日に終わる予定で、準備の時間は長くない。参加するなら、開設の時期、配信の内容と回数、商品ごとの利益、見る指標を今週のうちに決めておく。そのうえで、キャンペーンの後にフォローがどれだけ残り、年末までに再購入がどれだけ生まれたかを見て、続けるかどうかを判断したい。
本記事は、株式会社TORIHADAが運営するクリエイターエコノミー専門メディア「CREATORS POST」がお届けしました。最新のマーケティング・クリエイター動向を、実務目線で発信しています。
この記事はAIを活用して書いています。



