Googleは2026年10月28日、外部の開発者が自社のアプリや機能をGoogle検索とGeminiアプリに載せるための仕組み「Connected Apps Platform」のプレビューを発表した。開発者は、クラウドに置いたMCPサーバーか、AndroidのAppFunctions APIを使う「Android MCP」で機能をつなぎ、管理画面「Google Connected Console」で登録、テストをして審査に出す。審査に出す前に、載せる先を検索、Geminiアプリ、その両方から選ぶ。Googleによれば、検索とGeminiではすでに50を超えるConnected Appsが公開されている。
ただし、いま申し込めるのは限られた開発者だけだ。TechCrunchは、米国の開発者向けのベータで、順番待ちリストに登録した人が対象だと報じた。Googleは「開発者、市場、Googleの製品を段階的に増やしていく」とするだけで、国や時期は示していない。費用、収益の分配、審査の基準と期間も公表されていない。日本の開発者や事業者が申し込める時期は発表されていない(11月3日時点)。
検索やAIとの対話の中で、ユーザーが自社の予約、購入、会員の機能を直接使えるようになれば、Webサイトに来てもらうという前提が変わる。本稿では、公式ブログ、開発者ドキュメント、ポリシー、Geminiのヘルプにある提供国の表を読み比べる。そのうえで、公開済みの条件と未公表の事項を表に分け、D2C・事務所が今のうちにやることと、待つことを機能ごとに整理する。
何が発表されたか──「一度作れば検索とGeminiの両方に出せる」
これまでもGeminiには、外部のサービスとつなぐ「Connected Apps」の機能があった。ただ、載せられるのはGoogleが選んだ提携先が中心だった。今回の発表は、その入口を外部の開発者に広げ、検索とGeminiの両方を1つの管理画面で扱えるようにしたものだ。公式ブログは、検索のグループプロダクトマネージャーのChips Mistry氏と、GeminiアプリのMai Lowe氏が署名している。2人は、開発者が「一度作れば、検索とGeminiアプリの両方で、目的意識の高いユーザーに届く」と説明する。
すでに動いている例として、ブログはAdobe、Experian、Localiza、Pelotonの4社を挙げた。いずれもGeminiでは公開済みで、検索には「数週間のうちに」対応する予定だ。瞑想アプリのCalmは、検索とGeminiの両方に新しく載る予定とされた。分野は、仕事の効率化、イベントのチケット、健康、フィットネスなどだ。TechCrunchは、検索に今後数週間でInstacart、Canvaなどが加わると報じている。
ユーザー側の使い方は、開発者ドキュメントに書かれている。ユーザーは一度アプリを連携すれば、その後は自分のデータを見たり、サービスの中で操作したりできる。MCPサーバーの開発ガイドによれば、ユーザーは「@アプリ名」と入力するか、質問の中でアプリの名前を出して呼び出す。表示には、ブランドのデザインを入れた操作画面(MCP Apps)も使える。公開後、開発者は利用の量、応答の速さ、エラーの率を確認でき、認証済みのロゴやアカウントでブランドの見え方を管理できる。
公開済みの条件と、まだ分からないこと──資料5本を読み比べる
今回の資料は、短い公式ブログと、何ページかに分かれた開発者ドキュメントでできている。技術的な条件はかなり細かく書かれている一方で、事業の判断に必要な国、費用、表示のされ方は、どの資料にも書かれていない。下の表は、本稿が登録の前提条件、Connected Appsのポリシーなどを読み比べ、公開済みの事実と未公表の事項を分けたものだ。
| 項目 | 公開済みの事実(11月3日時点) | 未公表の事項 |
|---|---|---|
| 対象の開発者 | プレビューは申込フォームから申し込む。段階的に開く(公式)。米国の開発者向けで順番待ち(TechCrunch) | 対象国の一覧、第1段階の受け入れ数、プレビューの終了時期 |
| つなぎ方 | 公開されたHTTPSのMCPサーバー(Streamable HTTP)か、Android MCP(AppFunctions)。ユーザーの認可はOAuth 2.1 | ツールの数やデータ量の上限 |
| 載せる先 | 審査の前に、検索、Geminiアプリ、両方から選ぶ | 検索のどの画面に、どの順で出るか |
| 審査 | Connected Consoleで審査に出す。違反があれば却下、停止、削除、アカウントの停止がありうる | 審査の基準の細目、かかる期間 |
| 登録の情報 | 説明文は30語未満の1文。アイコンは512×512ピクセル。できることを3つ以上、例文を3つ以上。利用規約とプライバシーポリシーのURLは必須。カテゴリは後から変えられない | 日本語での登録の可否 |
| 広告と収益 | 連携の中で第三者の広告や販促を出すことは禁止。自社のブランドの表示は可。ユーザーデータの有償の提供は禁止 | 手数料、収益の分配、Google側の広告との関係 |
| 提供地域 | MCPのエンドポイントは原則、世界で1つ。特定の国だけで公開する場合に限り、その地域のエンドポイントを使える | ユーザー向けに提供する国と言語 |
表から分かるのは、Googleが「どう作るか」は先に示し、「どこで、いくらで、どう表示されるか」は示していないということだ。検索の結果の中で、競合する2つのアプリのどちらが呼ばれるのかも書かれていない。TechCrunchは、この仕組みを、企業がSEOで検索の順位を競ってきたことになぞらえた。ただ、順位に当たる仕組みは公表されておらず、今の段階でSEOと同じように対策を立てることはできない。
ポリシーが求めること──広告禁止、会話の取得禁止、決済は人の確認
ポリシーは短いが、D2CやECの担当者が企画を立てる前に知っておくべき制限が多い。中でも影響が大きいのは、広告、データ、決済の3つだ。Connected Appsは、検索やGeminiの中で自社の販促を流す枠ではない。ポリシーは、ツールが「直接的で意味のある役に立つこと」を求めている。
広告については、連携を通じて第三者の広告や販促の素材を出してはならないと定めている。自社のブランドの要素は使ってよい。データについては、今の機能に必要な最小限のデータだけをやりとりするよう求め、ユーザーの指示文や会話の履歴を求めたり集めたりすること、モデルにそれを出させるよう仕向けることを禁じている。ユーザーデータを金銭と引き換えに渡すことも禁止だ。プライバシーポリシーを公開し、ユーザーがデータを管理、削除する方法を案内する必要もある。AIとの会話から購買の意図を集めて広告に使う、といった発想はとれない。
決済のように取り消せない操作には、追加の条件がある。金融の取引を実行するツールは、ツールの注釈に「destructiveHint: true」を付けるか、管理画面で人の確認を必須にしなければならない。さらに、呼び出せるツールはすべて登録の時点で宣言する必要があり、実行の途中でツールを増やす仕組みは使えない。別のAIエージェントとやりとりする連携は、全面的に禁止されている。説明文でモデルを誘導することも認められていない。ポリシーは、範囲が広すぎる説明や、ほかのツールの使い方を指示する説明を禁じている。AIに自社のアプリを選ばせるための書き方は、そのまま違反になりうる。
日本のユーザーには届くのか──Geminiの提供国の表を読む
開発者の申し込みとは別に、作ったアプリが日本のユーザーに届くかという問題がある。Geminiのヘルプは、Connected Appsが使えるかどうかは「場所、言語、端末、Geminiのアプリによって異なる」と書いている。アプリごとの提供の表を見ると、ブログで名前が出た企業の状況は次のとおりだ。
| アプリ | 提供する国 | 言語 |
|---|---|---|
| Adobe | GeminiとAdobeが提供されている国と地域 | 英語のみ |
| Canva | GeminiとCanvaが提供されている国と地域 | 英語、フランス語、ヒンディー語、インドネシア語、ポルトガル語 |
| Peloton | 米国のみ | 英語のみ |
| Experian | 米国のみ | 英語のみ |
| Instacart | 米国のみ | 英語のみ |
| Localiza | ブラジルのみ | ポルトガル語のみ |
表から分かるのは、提供の範囲がアプリごとに違い、国だけでなく言語でも絞られていることだ。Localizaはブラジルでポルトガル語だけ、という形で、特定の国に向けた公開がすでにある。一方で、11月3日に本稿が確認した時点では、日本語に対応したアプリは表に見当たらなかった。AdobeやCanvaは国の制限がないが、日本語には対応していない。日本の消費者に日本語でサービスを使ってもらえる時期は、開発者の受け入れとは別に、Googleがユーザー向けの言語を広げるのを待つ必要がある。
予約・購入・会員──機能ごとに「今やる」と「待つ」を分ける
日本の事業者がすぐに申し込めないとしても、準備に時間がかかる部分は今から進められる。逆に、費用や表示の仕組みが分からないうちに、予算や組織を動かすのは早い。下の表は、本稿が公開済みの仕様とポリシーをもとに、D2C・事務所に多い3つの機能について整理した目安だ。実際に申し込んで確かめた結果ではない。
| 機能 | 載せる価値 | 今やること | 待つこと |
|---|---|---|---|
| 予約(来店、イベント、ファンミーティングの席) | 「来週空いている日は」といった質問から、そのまま予約まで進められる | 空き状況と予約の処理をAPIで呼べる形にする。キャンセルを取り消せない操作として扱い、人の確認を前提にした流れを設計する | 日本語の対応、検索での表示のされ方 |
| 購入(EC、限定グッズ) | 商品を探す質問の流れの中で、カートや注文の状況を見せられる | 決済の手前までと、決済そのものを分けて設計する。決済のツールには人の確認を付ける前提で考える | 手数料、収益の分配、Google側の買い物の機能との関係 |
| 会員(ポイント、ファンクラブ、サブスク) | ログインした会員が、残高や特典をAIの中で確かめられる | OAuth 2.1でのログインに対応できるかを確かめる。AIに渡す会員データの範囲を、必要最小限に絞って決める | 提供国、審査で求められる個人情報の扱いの細目 |
3つに共通するのは、AIの中で「何ができるか」を先に決める作業だ。登録には、できることを3つ以上、例文を3つ以上書く必要があり、カテゴリは後から変えられない。言い換えれば、自社のサービスの中から、AIに任せる操作を少数に絞り込み、説明できる形にしておくことが準備になる。支出の上限や権限の渡し方の考え方は、Gemini agentの記事で、エージェントに買い物を任せる場面の線引きはWalmartとAmazonの記事で整理した。
もう1つの論点は、自社のWebサイトとの関係だ。ユーザーが検索やGeminiの中で用事を済ませれば、サイトに来る人は減りうる。開発者が見られる数字は、公式ブログによれば、利用の量、応答の速さ、エラーの率で、売上や購入への転換の数字は挙げられていない。サイトの分析ツールで追ってきた成果を、どう測り直すかは決まっていない。検索のAIモードでは、Googleが個人の文脈を使った広告をテストしている(AIモード広告の記事)。自社のアプリと、同じ画面に出る広告の関係も、今の資料からは読み取れない。
今のうちにD2C・事務所が決めておくこと
Connected Apps Platformは、MCPという共通の規格の上に作られている。MCPには、すでにTikTokやMetaの広告の運用でも公式のサーバーが出ている。一度MCPサーバーを作っておけば、GoogleだけでなくほかのAIの入口にも使い回せる可能性がある。その意味で、日本での受け入れを待つ間にも、準備が無駄になりにくい部分はある。決めておけることは、次のとおりだ。
- AIに出す操作を絞る:予約、購入、会員のうち、AIの中で完結させたい操作を3つ程度に絞り、説明文と例文の案を作る
- 取り消せない操作を洗い出す:決済、キャンセル、ポイントの消費など、人の確認が要る操作を一覧にしておく
- ログインとデータの範囲:OAuth 2.1に対応できるかを開発の担当者に確かめ、AIに渡す会員データを必要最小限に決める
- 規約とプライバシーポリシー:AIを通じた利用を前提にした記載が要るかを、法務と確認しておく
- 販促の企画と分ける:第三者の広告や販促は流せないので、PR案件やタイアップの露出をここに載せる前提で企画しない
- 申し込みの判断の条件:日本語の対応、手数料、審査の基準が公表されたら申し込むかを決める、と社内で条件を先に置く
Googleは、開発者、市場、製品を「今後数か月で」広げるとしている。ただ、日本がいつ対象になるかは決まっていない。今の段階でD2C・事務所にできるのは、AIの入口に置く機能を絞り込み、MCPとログインの技術的な準備を進めておくことだ。費用、表示のされ方、審査の基準が分かるまでは、予算と体制を大きく動かす判断は待ってよい。
本記事は、株式会社TORIHADAが運営するクリエイターエコノミー専門メディア「CREATORS POST」がお届けしました。最新のマーケティング・クリエイター動向を、実務目線で発信しています。
この記事はAIを活用して書いています。



