YouTube Shortsが「オリジナル優先」に──10月1日のおすすめ変更で、転載・切り抜き・UGC二次利用はどこまで許されるか

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YouTubeは2026年10月1日(米国時間)、Shortsのおすすめの仕組みを見直し、他のクリエイターの動画を自分なりの付加価値なしで再投稿したコンテンツの表示を減らすと、公式ヘルプコミュニティの投稿「Prioritizing original content on Shorts」で告知した。米Search Engine Journalによれば、投稿は「他のクリエイターの動画を主にまとめたり再アップロードしたりしていると判定されたチャンネルは、Shortsフィードでの配信が減る可能性が高い」としている。同じ日にYouTubeのCreator Liaison(クリエイター窓口)のRene Ritchie氏も、公式チャンネルCreator Insiderの動画で補足の説明をした。

ブランド公式チャンネルや事務所の運用者に関わる点は3つある。ひとつ、判定は投稿1本ごとではなく「チャンネル」単位で書かれており、転載が多いアカウントほどまとめて影響を受けうる。ふたつ、Ritchie氏は、画面の内容を説明するだけのナレーション、細かい技術的な編集、テンプレートによる一括の改変は「オリジナル」とは見なさないと述べた。字幕を付けた、速度を変えた、といった程度の切り抜きやUGCの転載は危ない側に入る。みっつ、開始日、判定の基準、表示が減ったかどうかを確かめる方法は、いずれも示されていない(Search Engine Journal)。告知に対象地域の限定は書かれておらず、日本向けの個別の案内は10月3日時点で本稿では確認できていない。本稿では、既存の収益化ポリシーとスパムポリシーの文言を突き合わせ、よくある運用パターンごとにリスクを判定する。

目次

告知に書かれていること、書かれていないこと

まず、告知の中身を一次情報に近い順に整理する。告知は短く、運用の判断に要る情報の多くは書かれていない。何が言われ、何が言われていないかを分けておくと、この先の追加発表を読むときにも役に立つ。

Search Engine Journalが引用した投稿の本文は、「Shortsの体験を全員にとってよくするため、おすすめの仕組みを更新し、オリジナルのコンテンツをさらに優先し、自分なりのものを何も加えずに他のクリエイターから再アップロードしたコンテンツのリーチを減らす」というものだ。そのうえで、他のクリエイターのクリップを使う場合は、自分のコメント、独自の編集、ストーリーテリングで本当の価値を加えるよう求めている(米Digital Music News)。告知は、細かい技術的な編集やテンプレートでの変更で動画を変えるのではなく、自分の声や語り、視点を持ち込むよう勧めている。

Ritchie氏の動画での補足は2つある。1つめは、他のクリエイターの動画を自分の視聴者に見せたい場合はチャンネルの「投稿」タブで共有し、元の動画を見てもらう方法を勧めたこと。2つめは、「以前まとめや再アップロードをしていたチャンネルがオリジナルに切り替えれば、おすすめの仕組みがリーチを再評価する」と述べたことだ。一方で、再評価にかかる期間、変更の開始日、チャンネルが対象になったかを確かめる画面は示されていない。米Social Media Todayは、今回の更新は既存のスパム対策の指針を強めるものだと位置づけている。対象はあくまでおすすめでの配信で、動画の削除や収益化の判定を変えるという記述は告知にはない。

「オリジナル」の物差しは既存ポリシーにある

告知に判定基準が書かれていない以上、手がかりになるのはYouTubeがすでに公開しているポリシーの文言である。Social Media TodayとSearch Engine Journalがいずれも既存のポリシーとの関係に触れているとおり、今回の変更は新しい物差しを作ったというより、すでにある物差しをおすすめの配信にも当てはめたものと読める。

1つめは、チャンネル収益化ポリシーの「再利用されたコンテンツ(reused content)」の項目だ。YouTubeや他のオンライン上のコンテンツを、大きなオリジナルのコメントや実質的な改変、教育的・娯楽的な価値を加えずに転用したものを指す。許可される例には、批評目的のクリップ、コメント付きのリアクション動画、専門的な解説付きのスポーツのリプレイ、他のクリエイターの映像にストーリーとコメントを加えて編集したもの、が挙がる。認められない例には、他人のコンテンツに最小限の編集をしてオリジナルとして見せるもの、ほとんど語りのないクリップの寄せ集め、別のオンライン上の情報源から実質的な改変なしにダウンロード・コピーしたもの、がある。複数のアーティストの楽曲を集めたものは「許可を得ていても」認められないと明記されている点は、ブランドにとって重要だ。権利者の許諾があることと、オリジナルと見なされることは、別の問題として扱われている。

2つめは、スパム、欺瞞行為、詐欺に関するポリシーにある転載(scraped content)の項目だ。他のサイトやプラットフォーム、他の動画の素材を、オリジナルのコメント、教育的な価値、独自の編集といった自分なりのものを何も加えずに再投稿することを指し、人気のクリップを変形の編集やリアクション、教育的な解説なしにそのまま再アップロードするチャンネルが例に挙がる。こちらは違反すると動画の削除や警告・違反警告の対象になる。今回の告知が「表示を減らす」段階の措置だとすれば、その先に削除と違反警告の段階がある、という位置関係になる。

運用パターン別の判定表──安全/要注意/NG

以上の文言と、Ritchie氏が「オリジナルではない」と挙げた3つの例を、ブランド公式チャンネルや事務所でよく見る運用に当てはめた。判定は本稿が公開文書を読み比べて付けたもので、YouTubeが個別に示したものではない。特に「要注意」は、告知の文言だけでは白黒がつかない領域である。

運用パターン 突き合わせた根拠 判定 直し方
自社の長尺動画・自社撮影素材からShortsを切り出す 他のクリエイターの動画の再アップロードに当たらない 安全 そのままでよい。ただし同じ素材を少しずつ変えて大量に出すと、テンプレートによる一括変更に近づく
他人の動画に、自分の顔や声で批評・リアクションする 収益化ポリシーの許可例(批評、コメント付きリアクション) 安全 元動画を流すだけの時間を短くし、意見や反応を中心にする
複数のUGCを集め、比較や解説を加えて1本に編集する 許可例(ストーリーとコメントを加えた編集)と、禁止例(語りのない寄せ集め)の境目 要注意 並べるだけで終わらせず、選んだ理由や使い方の比較など、ブランド側の語りを入れる
ブランド公式が、PR案件のクリエイター動画をそのまま公式チャンネルに再投稿する(許諾あり) 許諾があってもオリジナルとは見なされない、という楽曲の例と同じ構造。告知も許諾の有無に触れていない 要注意 クリエイター本人のチャンネルに投稿してもらい、公式は投稿タブで共有する。公式に置くなら、メイキングや商品の解説を撮り足す
配信や長尺動画の切り抜きに、テロップと効果音だけを付ける(権利者の許諾あり) 禁止例(最小限の編集)に近い。許諾の有無と、オリジナル性の判定は別 要注意 切り抜く側の解説や文脈づけを入れる。切り抜き専用チャンネルでは、チャンネル全体の構成比も見る
他人の動画に、画面の内容を説明するだけのナレーション(AI音声を含む)を付ける Ritchie氏が名指しした「VOによる描写」 NG 描写ではなく、分析や意見を語る。それができない素材は使わない
反転・速度変更・フィルター・枠をテンプレートで一括適用して再投稿する Ritchie氏が名指しした「細かい技術的な編集」「テンプレートによる一括変更」 NG やめる。判定を逃れる目的の加工は、告知そのものが戒めている
他人の人気動画を無加工、または字幕だけ付けて再投稿する スパムポリシーの転載の例にほぼそのまま当たる NG 投稿タブで元動画を共有するか、削除する。表示減にとどまらず、削除や違反警告の対象になりうる

表の中で最も判断が分かれるのは、ブランドが許諾を得たUGCやPR動画を公式チャンネルに載せる運用だろう。TikTokのSpark Adsのように、クリエイターの投稿をブランドが広告として配信する方法はおすすめの配信とは別の仕組みだが、公式チャンネルへの通常の再投稿は、今回の判定の対象になりうる。今回の判定は収益化とは別に、おすすめでの表示に効く。収益化をしていない企業チャンネルにも関係するという点を押さえておきたい。二次利用の範囲をどう契約に書くかは、「二次利用込み」のPR案件で決めるべき7項目の記事で整理した。今回の変更を受けて、「公式チャンネルへの再投稿」ではなく「クリエイター側での投稿と公式からの共有」を基本にした契約に組み替える余地がある。

法務の面では、YouTube上でおすすめの表示が減らないことと、著作権上問題がないことはまったく別である。日本の著作権法で他人の動画を使う場合、権利者の許諾を得るか、引用として認められる条件を満たす必要がある。オリジナル性を高めるために批評やリアクションの形を取っても、許諾のない切り抜きが適法になるわけではない。

4月のInstagramとの比較──判定の単位は似ているが、開示の量が違う

同じ種類の対策は、Instagramが先に行っている。米PetaPixelによれば、Instagramの責任者Adam Mosseri氏は2026年4月30日、転載への対策をリールから写真とカルーセルにも広げると発表した。Social Media Todayも、今回のYouTubeの変更をこの動きと並べて伝えている。

2つを比べると、判定の単位はよく似ている。Instagramは投稿1本ではなくアカウントが1か月に投稿したものを見て、その大半が他人のコンテンツであれば発見タブなどのおすすめ面に出にくくなり、すでにフォローしている人への表示は変わらないとした(PetaPixel)。YouTubeも「主にまとめ・再アップロードをしていると判定されたチャンネル」とチャンネル単位で書いており、対象をShortsフィードでの配信としている。違いは開示の量だ。Instagramは判定の期間(1か月)や、透かしを入れる、元の作者を表記する、枠を付けるといった程度では足りないことを具体的に示し、公式のリポスト機能やコラボ投稿という代わりの手段も挙げた。YouTubeは投稿タブでの共有を代わりの手段として挙げたが、判定の期間も開始日も示していない。ブランドの立場からは、両方のプラットフォームで「クレジットを付ければ転載してよい」という考え方はもう通らない、と整理しておけばよい。

今週の確認事項

開始日が示されていない以上、すでに適用が始まっている前提で動くのが安全だ。Digital Music Newsも、時期の告知がないことから変更はすでに有効になっている可能性を指摘している。公式チャンネルと、運用を受託しているチャンネルについて、次の順に確認したい。

  • 直近1か月のShortsを、自社素材・他者素材・UGCに分け、他者素材とUGCの再投稿がどれだけの割合を占めるかを数える
  • 上の表で「NG」に当たる投稿(無加工の転載、描写だけのナレーション、テンプレートでの一括加工)を止める
  • 「要注意」に当たる投稿は、ブランド側の語りや撮り足しを加える形に作り方を変える
  • PR案件のクリエイター動画は、本人のチャンネルに投稿してもらい、公式は投稿タブで共有する運用に切り替えられるかを検討する
  • YouTube Studioで、Shortsフィードからの流入とおすすめ経由の視聴が10月1日の前後で変わったかを追う
  • 使っている他者の素材について、許諾の範囲(媒体・期間・改変)を契約書で確かめる

流入の変化を見るときは、指標そのものの定義が最近変わった点にも注意がいる。8月24日からの再生数の数え方の変更はYouTubeの「再生数」が変わったの記事で扱った。前後で比べるなら、再生数よりもおすすめ経由のインプレッションや視聴者数で見るほうが、今回の影響を切り分けやすい。年内のYouTube運用の見直しはMade on YouTube 2026を事務所・ブランド目線で読むの記事と併せて読んでほしい。プラットフォームが「オリジナルかどうか」で配信や報酬を分ける流れは、Xの新制度「Original Content Rewards」とも共通している。転載でリーチを稼ぐ運用の前提は、主要なプラットフォームで同時に崩れつつある。


本記事は、株式会社TORIHADAが運営するクリエイターエコノミー専門メディア「CREATORS POST」がお届けしました。最新のマーケティング・クリエイター動向を、実務目線で発信しています。

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この記事はAIを活用して書いています。

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