X(旧Twitter)は現地時間2026年8月7日、2023年から続いてきた収益化プログラム「クリエイター収益分配(Creator Revenue Sharing)」を2026年9月7日で終了し、新制度「Original Content Rewards Program」へ移行すると発表した。ポイントは3つある。①旧制度での収益発生は9月7日まで、②新制度は自動移行ではなく9月8日以降の申請制、③報酬の対象が「本人が作ったオリジナルコンテンツ」に限定され、転載・コピー投稿は収益化の枠組みから締め出される。
発表は公式クリエイター向けアカウント@XCreatorsの投稿と、Xヘルプセンターの新制度のポリシーページで行われた。ヘルプセンターの対象国リストには日本も含まれており、Xで収益化している、あるいはこれから収益化を狙う日本のクリエイターにとって、旧制度終了まで残り2週間ほどで判断と対応が必要な変更だ。本記事では一次資料であるXヘルプセンターの記載をもとに、終了スケジュール、新制度の仕組みと参加条件、9月7日までにやるべきことを整理する。
9月7日で旧制度終了──最終支払いは3回、新制度は「申請制」
まず押さえるべきはスケジュールだ。今回の変更は「いつの間にか仕様が変わっていた」類のアップデートではなく、旧制度の収益が発生しなくなる明確な期限が切られている。Xヘルプセンターの収益分配ページによれば、2026年8月7日をもって旧制度への新規登録は停止済みで、既存参加者の収益発生は9月7日まで。最終支払いは通常スケジュール通りの8月14日と8月28日の2回に加え、9月7日までの発生分が9月11日前後に支払われる計3回で締めとなる。
重要なのは、既存参加者が新制度へ自動で引き継がれるわけではない点だ。9月8日から既存の収益分配メンバー向けに新制度への申請アクセスが順次開放され、後述する参加条件を満たしたうえで改めて申請する必要がある。適格性は「Creator Studio → Original Content Rewards」からいつでも確認できる。本人確認と支払い方法の設定を済ませていればやり直しは不要だが、過去のポリシー違反で収益化が停止中のアカウントは現時点で申請できない。
移行の理由についてX側は、米TechCrunchが伝えたところによると「既存プログラムはインセンティブがずれた(misaligned)状態に達していた。クリエイターは支払い額の最大化ではなく、プラットフォームに新しいコンテンツをもたらすことに集中すべきだ」と説明している。収益分配の仕組みそのものが「稼げる投稿の量産」を誘発し、コンテンツの質を下げていたという自己診断である。
新制度の仕組み──「認定インプレッション」だけがお金になる
では、新制度では何が報酬になるのか。Original Content Rewardsの報酬計算はシンプルで、オリジナルコンテンツが獲得した「認定インプレッション(qualified impressions)」の量に基づいて支払われる。認定インプレッションとは、Premium加入者(Premium Basic・Premium・Premium+・Premium Businessの購読者)がホームタイムライン上で投稿の50%以上を視認したユニーク表示を指す。同一アカウントによる同じ投稿の重複表示、広告・プロモーション経由の表示、人為的に生成された表示や不正な表示はすべて除外される。
支払いサイクルは旧制度と同じく2週間ごとで、最低支払額は30ドル。受け取りにはStripeの支払いアカウント、または対象ユーザーであればX Moneyアカウントの接続が必要だ。X Moneyは2026年7月に米国でローンチした送金・決済機能で、「ポストで稼ぎ、Xで使う」経済圏の入口として既報の通り整備が進んでいる。今回のヘルプページに受け取り手段として明記されたことで、収益化と決済を一体で囲い込む設計がより鮮明になった。一方で、認定インプレッション1件あたりの支払い単価はヘルプページに明示されておらず、移行後に実際いくら稼げるのかは現時点で読めない点には注意が必要だ。
Xの収益化制度はこれで3世代目になる。2023年7月に「リプライ欄に表示される広告収益の分配」として始まり、2024年10月にPremiumユーザーのエンゲージメントに基づく方式へ改定、そして今回、インプレッションの「質」とコンテンツの「オリジナル性」に絞った制度へ移行する(経緯はITmedia NEWSも報じている)。エンゲージメント総量を追う設計から、「誰に・どこで・何が見られたか」を選別する設計への転換である。
参加条件を旧制度と比較する──数字は下がり、質の基準は上がった
参加のハードルはどう変わったのか。表面的な数字だけ見ると条件は緩和されたように見えるが、カウント方法が変わったため実態はむしろ厳格化に近い。ヘルプセンターの記載をもとに新旧を比較すると次の通りだ。
| 項目 | 旧: Creator Revenue Sharing | 新: Original Content Rewards |
|---|---|---|
| 加入方式 | 条件を満たせば有効化 | 申請制(3営業日以内に審査結果を通知。不承認時の不服申し立ては1回、以降は90日後に再申請可) |
| サブスクリプション | Premium/Premium Business等に加入 | Premium/Premium+/Premium Businessのいずれかに加入 |
| フォロワー | 認証済みフォロワー500人以上 | 認証済みフォロワー500人以上(変更なし) |
| インプレッション | 直近3カ月で500万オーガニックインプレッション | 直近90日間で認証済みユーザーからのホームタイムライン表示50万件以上(返信への表示は除外) |
| その他 | 対象国在住・利用規約の遵守 | 18歳以上、個人または企業アカウント(政治・政府系アカウントは対象外)、オリジナルコンテンツを能動的に投稿していること |
インプレッション要件は500万件から50万件へと数字上は10分の1に下がった。ただし旧制度が「オーガニック表示ならすべて」カウントしたのに対し、新制度でカウントされるのは「認証済みユーザーからの、ホームタイムライン上の表示」だけで、返信欄での表示は除外される。バズった投稿のリプライ欄に張り付いて表示回数を稼ぐ、日本で「インプレゾンビ」と呼ばれてきた手法は、参加要件の時点でも報酬計算の時点でも通用しなくなる設計だ。なお、条件をすべて満たしても加入が保証されるわけではなく、審査を通過する必要がある。
「オリジナル」の線引き──転載・微修正・まとめ・他プラットフォーム転載はアウト
新制度の核心は、何が「オリジナルコンテンツ」と認められるかの線引きにある。ヘルプページの定義では、オリジナルコンテンツとは「自分で書き、撮影し、デザインし、制作したコンテンツで、自身の声・視点・専門性を反映したもの」。逆に、報酬対象外となるコンテンツとして次の4類型が明示された。
- コピーされたコンテンツ──他者の文章・画像・動画の丸ごと転載。X内外からダウンロードして再アップした投稿を含む
- 最小限の修正しか加えていないコンテンツ──単語を1〜2語変える、フィルターをかける、再生速度を変える、テキストを重ねるだけの投稿
- まとめ・寄せ集めコンテンツ──他者のコンテンツを実質的な視点の追加なしに編集・結合した投稿
- 他プラットフォームからの転載──本人以外による他サービスからの持ち込み投稿
いわゆる「パクツイ」や海外バズ動画の無断転載アカウントを、収益面から直接狙い撃ちする内容だ。一方で注目すべきは、コメンタリー(論評)が「Xの中核」として明確にオリジナル扱いされている点である。ニュースを分解して解説する、文化的な話題に自分の見解を加える、他にない文脈を補足する──こうした投稿は、他者の話題を扱っていても報酬対象になる。他人の成果物に乗るだけの投稿と、そこに視点を加える投稿の間に、明確な報酬の線が引かれた。
加えて、コンテンツ単位の除外条件も細かい。有用と評価されたコミュニティノートが付いた投稿、収益化ノウハウや「稼ぎ方」の議論に特化したコンテンツ、自動化ツールで作成・投稿されたコンテンツは対象外。「いいね・リポスト・フォローして」と繰り返し要求するエンゲージメント誘導も、継続参加要件への違反として明記された。ホームタイムラインでの表示だけが報酬になる以上、レコメンドに乗るかどうかが収益を左右する。XのおすすめアルゴリズムがGrokによる関連性ランク付けへ移行した流れと合わせて読むと、「アルゴリズムに評価されるオリジナル投稿の設計」が収益化の唯一の道になったと言える。
日本のクリエイターが9月7日までにやるべきこと
冒頭で触れた通り、日本はOriginal Content Rewardsの対象国に含まれている。旧制度で収益を得ているなら、まずCreator Studioの「Original Content Rewards」から自分の適格性ステータスを確認し、直近90日間の認証済みユーザーからのインプレッションが50万件に届いているかを把握することが最初の一歩だ。届いていない場合、9月8日以降すぐには申請できず、収益が途切れる期間が発生する。返信欄でのやり取り中心にインプレッションを積み上げてきたアカウントは、要件の計算対象がホームタイムラインに限定されたことで、見かけの表示回数と適格性の数字が大きく乖離する可能性がある。
運用面では、転載・切り抜き・まとめ型のコンテンツに依存しているアカウントほど方針転換の影響が大きい。逆に、自分の体験や専門性に基づく投稿、一次情報への論評を積み上げてきたクリエイターにとっては、報酬の原資を奪い合う競合が制度的に減る追い風でもある。単価が非公表である以上、移行直後の収益は不確実だと割り切り、収益の柱をX単独に置かないことも現実的な備えになる。プラットフォームが収益化の参加条件を見直す動きは、YouTubeが2027年2月に予定するパートナープログラム改定でも起きており、「規約変更で収益が止まっても事業が止まらない」構えは、2026年のクリエイターにとって共通の宿題と言えるだろう。
今回の変更は、Xが「表示回数を稼ぐ場所」から「オリジナルの発信が対価を得る場所」へ舵を切る宣言でもある。制度の細部は今後も調整される可能性があるため、公式の@XCreatorsとヘルプセンターの一次情報を定期的に確認しつつ、9月7日の期限までに自分のアカウントの現在地を数字で把握しておきたい。
本記事は、株式会社TORIHADAが運営するクリエイターエコノミー専門メディア「CREATORS POST」がお届けしました。最新のマーケティング・クリエイター動向を、実務目線で発信しています。
この記事はAIを活用して書いています。



